二十四節気の養生法【2021小雪】
秋が深まり街路樹も紅葉に染まり、イチョウの落ち葉が積もり本格的に冬の到来が近づいてきました。11月22日から12月6日(大雪の前日)までの2週間が「小雪」です。 暦便覧には「冷ゆるが故に雨も雪となりてくだるがゆへ也」とあります。
いよいよ雪の便りが届くころですが、まだそれほど寒さは厳しくなく雪も多くないので、故に小雪だそうです。でも毎年12月に入るとそのシーズン最初の寒波が来て平野部でも雪が降り、寒さを防ぎ温かさを保つ季節になったことを教えてくれます。特に日本は南北に長い国土で北と南では、かなり寒さが違い、また西高東低の気圧配置となり、太平洋側は乾燥した空気で、逆に日本海側では湿度が高く大雪が降るなど、各地それぞれ特徴的な気候になりますね。
どんよりした曇り空で日照時間も短く、憂うつな気分になりがちですが、この季節は喜びも怒りも不安も抑え気味にして出来るだけ精神状態を平穏に保つことが大切です。感情の激しい変化を避け、自分のカラダの為に出来るだけ穏やかに過ごすように心掛けましょう。
冬の養生法は「温陽補腎」
冬の養生法は「温陽補腎」で腎を冷えから守ることが大切です。
秋の養生法では春悟秋凍といって秋になったからと早くから厚着をせずに少しずつ冷たい空気に慣らしていく方が免疫力を高めると言いましたが、本格的な寒さになってくると、徹底して寒邪をカラダに侵入させない養生が大切になります。
前回でもお伝えした、寒邪が侵入する3つのクビ(首、手首、足首)を防寒したり大椎・肺兪・風門・腎兪・命門・八髎穴・三陰交・関元(臍下丹田)・気海などの冷えを防ぐ要穴をしっかり保温することが大切です。
特に冷え症や気虚・血虚体質の方はレッグウォーマーは必須です。以前テレビで磁気のついた切符の裏を三陰交に貼るとカラダが温まるという実験もやっていました。レッグウォーマーは職場で履けないという人は○○○エレキバンみたいな磁気治療シールも効果的かもです。三陰交は女性の要穴なので必ず守ってください。
また、防寒対策をして外からの邪気を侵入させないようにすることも大切ですが、内寒といいカラダの内側からも冷やさないことが大切です。
内側から冷やす原因
1.ストレスで冷える⇒気滞証
温煦作用のある「気」が、ストレスにより全身に巡っていないため冷える。
2.血の巡りが悪くて冷える⇒血虚証・血瘀証
全身に熱を運ぶ血が少ないために冷える。
血が巡っていないため末端に熱が運べず特に手足が冷える。
3.低体温で基礎代謝が低い⇒陽虚証(脾虚証、腎虚証)などによります。
もともと元気や体力の弱い虚弱な体質で冷える⇒腎陽虚
お腹が弱く、水が巡らないため冷える⇒脾陽虚
冷えによる特徴的症状
1.ストレス(気滞証)による冷えの特徴的症状
脹痛、イライラ、呼吸が浅い、胸や喉の痞え、目の充血、カスミ目、偏頭痛など、
2.血行不良(血虚証、血瘀証)による冷えの特徴的症状
キリキリ・ズキズキなど刺すような痛み、生理痛、シミ、クマ、手足の先が冷える、心身疲労、うつ症状など、
3.水の巡りの悪い(脾虚湿痰)冷えの特徴的症状
お腹や太もも、お尻、二の腕などがポチャポチャで冷たい、腸がグルグル鳴る、肥満などの症状が起こりやすくなります。
冷え症を改善する食材
1.気滞証を改善する食材
■香味野菜(セロリ、セリ、春菊、シソ、ニラ、ねぎ、生姜、みょうが、三つ葉、大葉、苦瓜など)
■柑橘類(レモン、みかん、オレンジ、柚子、グレープフルーツなど)
■良い香りのもの(マイカイ花、ジャスミン、菖蒲、菊花、ミントなど)
■降の作用のもの(蕎麦、シナモン、貝類)
2.血を補い、巡らす食材
■野菜(小松菜、ほうれん草、ニラ・玉ねぎ、らっきょう、紅花など)
■青背の魚(鯖、いわし、サンマ、アジなど)
■黒い食材(黒豆、黒米、黒きくらげ、黒酢、黒砂糖など)
3.お腹を丈夫にし、水を巡らす食材
■腎陽を強くする食材(エビ、ニラ、昆布、ワカメ、シナモン)
■脾を強くして水を巡らす食材(はと麦、とうもろこし、黒豆、小豆、やま芋、陳皮)
4.温熱性の食材
■あなご、エビ、かぼちゃ、キンカン、栗、くるみ、黒砂糖、胡椒、サクランボ、鮭、日本酒、サンザシ、シソ、シナモン、生姜、酢、玉ねぎ、陳皮、唐辛子、鶏肉、なつめ、ナマコ、ニラ、にんにく、ネギ、マイカイ花、松の実、みょうが、もち米、桃、ラム肉、ライチ、らっきょうなど
冷え改善養生法
1.冷え改善炊込みご飯
毎日食べてる白ご飯を黒米や黒豆ご飯、栗ご飯、蓮の実ご飯、かぼちゃご飯にする。補腎なら山芋ご飯や牡蠣ご飯など。変わったところでは、陳皮と生姜の炊込みご飯や松の実と生姜の炊込みご飯なども美味しそうです。油揚げ半分をみじん切りにして加えるとコクが出ます。(皆さんいろいろチャレンジしたり楽しんだりされていて、それぞれのレシピは検索すればいろいろ出てきますのでご参考にしてください)
2.冷たいものは出来るだけ口にしない
真夏の冷えたビールは格別ですが(笑)、私が初めて中国に行ったときにビールを注文したら常温の瓶ビールが出てきてビックリしました。逆に中国の人に言わすと日本のレストランでは頼んでないのに氷を入れた冷たい水が出るのはなぜ?って感じのようです。(どうして頼んでないのにわざわざカラダに悪いものを出すのだろうか?って思うのだとか。)
また、日本人にとっては新鮮なお刺身も捨てがたいのですが、出来るだけ生ものも避けて火を通す方が冷えの予防にはオススメ。サラダやフルーツも1時間前には冷蔵庫から出して常温にして、出来ればヨーグルトも常温で!そこまでやるの?って感じですが、冷えてツライという人は頑張りましょう。この季節にスムージーという方はさすがにいないと思いますが、やはり季節や自分の体質に合わせてカラダに取り入れる物を変えましょう。
3.お風呂でしっかり温まり
また、今ごろシャワーだけという人も少ないと思いますが、温かいお湯にゆっくりカラダが温まるまで浸かりましょう。また足湯の場合は43度ぐらいの熱めのお湯で冷めてきたら差し湯が出来るように近くに熱湯を用意して。
足先から冷えてくるのでお風呂上りはすぐに靴下を履くように。
ヨモギ風呂はカラダの芯から温める作用が強く、血行を促進し新陳代謝や自律神経の働きを高め、優しい香りでも癒されます。賞味期限が切れたマイカイ花が残っていればお茶パックに入れて湯船に浮かべるとカラダも温まり甘い香りが気の巡りを促進します。ゴージャスなローズ風呂でリラックス効果も抜群で心地良い眠りに。
4.冬は可能であれば早寝遅起きがオススメ
…といっても遅刻はダメです(笑)。出来れば12時までにはお布団に入り、朝は太陽が出てから活動しましょう。2021年の東京の一番遅い日の出は1月の6:51だったようです。
【温か巡らせ冬の薬膳料理】
お鍋が美味しい季節、お鍋の一品として気を巡らす青じそみじん切りと生姜をたっぷり加えたイワシのつみれの「生姜と紫蘇を練り込んだイワシのつみれ汁」、またちょっとお鍋に飽きた時は、衣に青のりを加えて磯の風味たっぷりのエビの天ぷら「エビの青のり揚げ」衣に黒胡椒を効かせると冷めても美味しく、冷え症改善効果もアップ!
熱性のラムは気を補いお腹を温める食材、冷えによる腹痛や生理痛、冷えてだるい腰痛などにピッタリの「ラムのハーブソテーに柚子茶と松の実ソース添え」。フォークで数か所刺して塩・胡椒をしたラムにすりおろしにんにく・茴香(フェンネル)とローズマリーのみじん切りをたっぷり刷り込んで両面こんがり焼き、焦げ目がついたら赤(または白)ワインを加えてふたをして数分蒸し焼き。肉を取り出した肉汁に柚子茶(ジャム)としょうゆを合わせてトロっとなるまで煮詰め、ラムに柚子ソースを掛けたら松の実を包丁で粗く刻んでトッピング。おしゃれな一品で冷え症も改善!
この季節はやはりいろいろなお鍋料理が多いですが、カラダを温め気血を巡らす麻辣紅湯と気を補う人参白湯の本格台湾火鍋や手足など末端冷え性を改善する手脚氷凍改善鍋、冷たく乾燥する季節に冬の美肌改善鍋などのお鍋もオススメです。
カラダを温める料理を楽しく作って、カラダの中から温まりましょう。
中医学の知恵を毎日のくらしに活かして、体質改善や病気の予防に役立てて下さい。
商品は各ショップでお買い求めいただけます。
京都伝統中医学研究所 楽天市場店 https://www.rakuten.co.jp/iktcm/
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次回は、12月7日「大雪」ですね。ところによってはだんだん雪が多くなってきます。ちょっと外にお出かけという時でも油断しないでしっかり防寒対策をしてお出かけください!
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