教育サービスの機能的価値と情緒的価値
「機能的価値」と「情緒的価値」
この2つの言葉自体は、耳にしたり目にしたりしたことがある方も多いかもしれません。
おそらくブランディングやマーケティングに関わる文脈で多く使われる言葉だと思います。
それぞれの言葉の意味を簡単に示しておくと…
機能的価値
その商品やサービスの「機能や性能」に対する価値
機能面や品質面での強み
情緒的価値
その商品やサービスの「印象」から受ける価値
お客様の感情に訴えかける価値
ブランディングやマーケティングにおいては、何か商品をお客様に売ろうとする場合、「機能的価値を訴求しがちだけれども、大事なのは情緒的価値の訴求である」といった文脈で、この2つの言葉が使われることが多いように思います。
例えば、「冷蔵庫」で言うと
「この冷蔵庫は大容量で○リットル入ります」
「従来モデルと比べて消費電力○%削減」
「カラーは全10色」
「扉が両側に開きます」
…と「機能面」を全面に出しても、たいして競合との差別化ができなかったり、たとえその機能に新しい技術が使われているとしても、いずれ競合や他社に真似されてしまうもの。
そうではなく、
「大容量で、週1回のまとめ買い派・共働き世帯に選ばれています」
「従来モデルと比べて消エネ。年間○円電気代が浮いて家計に嬉しい!」
「インテリアに馴染む色が選べるので、リビングダイニングがおしゃれな空間になる」
「両開きの扉なので、置く場所や置く向きの自由度が高まります」
…といった「情緒面」に訴求したほうが、お客様の心を動かしやすく、ファン化させやすい、と言われています。
教育サービスにおいてはどうか?
この「情緒的価値をきちんと訴求しましょう」という考え方は、私たちが提供する教育サービスにおいても同じで、「講座や研修の宣伝や集客」を考えるうえでもとても重要です。
ところが。
「教育サービス」においては、「私たちがあえて意識するべき視点」は、むしろ「機能的価値」のほうだと考えます。
どういうことかと言うと…
・・・
目に見える商品の場合
ついつい「機能的価値」を訴求してしまいがちなので、「情緒的価値」にフォーカスする!
という意識が必要。
教育サービスの場合
うっかりすると「情緒的価値」ばかりを訴求してしまいがちなので、「機能的価値」をきちんと伝える!
という意識が必要。
・・・
どんなサービスを販売するにしても、「購入」という意思決定をさせるうえでは、「情緒的価値」の訴求は大切。
けれども、教育サービスにおいては、「機能的価値の訴求も大事ですよ!」ということです。
どういう理屈か?
ここで改めて、教育サービスにおける「機能的価値」「情緒的価値」がどういうものか?を確認しておきたいと思います。
教育サービスの「機能的価値」と「情緒的価値」とは
教育サービスにおける「機能的価値」とは
講座や教材を通して、受講生に提供する「実利的な」価値
➡︎「受講生は何ができるようになるのか?」
例えば・・・
「この講座を受けることで、こんなことがこのレベルまでできるようになります」
「この講座で伝える内容を実践することで、こんな問題を解決できます」
「この教材をこのように活用することで、こんな知識が習得できます」 …など
教育サービスにおける「情緒的価値」とは
講座や教材を通して、受講生に提供する「感情的な」価値
➡︎「受講生はどんな気分になれる?」
例えば・・・
「自信をもってイキイキと仕事ができるようになります」
「同じ目的意識をもったたくさんの仲間に出会えます」
「教材が充実しているので安心です」 …など
(もちろん、講座のテーマや目的によっては、ここに挙げた「情緒的価値」が「機能的価値」に該当する場合もあるかもしれませんが、ここでは多くの講座でありがちなパターンとして分かりやすくするための一例として提示しています)
・・・
いかがでしょうか?
皆さんが普段よく目にするいろいろな講座や教育サービスのLP(ランディングページ)や広告などを思い出してみましょう。
「情緒的価値は十分訴求されているけれど、肝心の機能的価値にはあまり具体的に触れていないケース」は、結構「あるある」なのではないかと思います。
なぜこうなってしまうのでしょうか?
それは、やはり教育サービスが「無形サービス」だから。
目に見えない商品だからこそ、提供する側すら「機能的価値」を明確に把握・認識できていない(設定していない・明文化していない)ケースが多いのではないか?と思うのです。
教育サービスの「機能的価値」に不可欠な要素
では、教育サービスの「機能的価値」につながる要素が何なのか?というと、以下の2つに集約されます。
講座や研修の「ゴール」を明文化すること
ゴールに到達するための「手順や仕組み」(=カリキュラム)を示すこと
これがきちんと示されている講座は、受講生の「納得度」も「コミット度」も高いはず。なぜなら、受講生は自分が受講しようとしている講座の「機能や品質」を頭で理解したうえで受講の意思決定をしているからです。
一方、「機能的価値」の訴求がきちんとできてない講座においては、「なんとなく受講したい気になって申し込んだけど、その実どんな内容でどこまでのレベルを目指せる講座かよくわからなかった」ということが起こりやすいと言えます。中には受講を開始してから「思っていたのと違う講座だった」という受講生が出てくる可能性もあります。
まとめ
受講生に「なんか良さそう。よし、受講しよう! 申し込もう!」という気になってもらうためには、「情緒的価値の訴求」は不可欠。
でも、目に見えない教育サービスだからこそ、「意識的に・意図的に機能的価値のきちんと理屈で説明すること」をしないと、その講座の真価が伝わらなかったり、誤解されたりしてしまう可能性があります。
そうならないためには、教育サービスを販売するときは、「機能的価値」の重要な要素となる「講座のゴール」と「カリキュラム」をできる限り明文化・可視化して示すようにしましょう。
ぜひ参考にしてみてください。
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