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たけのこの"えぐみ"

京都の世話をしているたけのこ畑から収穫した「たけのこ」はえぐみがないと云われています。
事実、他産地の「たけのこ」と比べると圧倒的に少ないと感じています。少ないと言っていますが、全く無い訳ではありません。
収穫初期、"はしり"の頃は、えぐみを感じる「たけのこ」がそこそこあります。
世話をしている畑から同じように掘り出しているのに、この「たけのこ」は全く無く、この「たけのこ」はそこそこあるという感じで見た目では区別できません。 
かじってみて初めて分かる程度です。
他産地では掘り上げた時点でえぐみの強そうな臭いがしていると思っていますのでレベルは違います。
地産地とは、えぐみ成分の絶対量はかなり違うと思っていますが…
京都の世話をしている畑でも少しえぐみのある「たけのこ」は初期にはあります。
初期には、と書いたということは旬を迎えた"盛り"以降はほぼありません。
そしてこの辺りの良いたけのこでも掘り上げてから時間がたつと少しずつ、えぐみが強くなると感じています。
土から頭を出した筍は少しえぐみがあるとも言われています。

「たけのこ」のえぐみ成分は何なんでしょうか?


私は「京都のたけのこはえぐみがありません」と販売していますが、希にえぐみを感じる「たけのこ」に出合います。
その理由や、どうしたら区別できるかやえぐみを減じる簡単な処理はないかなど大学の研究室の先生と何年も研究を続けています。
えぐみは春の訪れを告げる食物には必ずと言っていいほど含まれているものではあります。(ふきのとうなど…)
でも、「京都のたけのこはえぐみがありません」と言って販売しているのに、えぐみがあると嘘をついたこととなり信用を無くしてしまいます。
私自身はえぐみを感じる感度が高いらしく、私がえぐみがある!と思った「たけのこ」でも他の方は感じないと言われることが多いです。
研究室でも、えぐみを感じる「たけのこ」とえぐみを感じない「たけのこ」を両方分析しても何も変わらないデータが出て来ます。
それほど微妙なものですが、京都産は無いと言いたい!
今も色々と研究を続けていただいています。

化学的には…


「たけのこ」のえぐみを調べると、ホモゲンチジン酸とシュウ酸と本には書いてありますが、ガスクロで調べてもホモゲンチゾン酸とシュウ酸とも大きな数字にはなりません。
弊社は元々缶詰屋でしたのでチロシンには苦労してきました。
「たけのこ缶を開けたら白い固まりがあった」とか、の「たけのこのふしの間に白い結晶があって…」とか、「白いカビが生えている」とかいろいろなクレームを頂いて来たからです。
そのたびに分析していただきましたが、答えはいつも「それは、たけのこ自身が持っているアミノ酸の一種のチロシンです」
で決まりでした。

缶詰屋には問題ありませんでした


見た目が悪いので返品交換はしていましたが、食べて頂いても害の無いもんですのでそれ以上、心配はいりませんが、まあまあ大変です。
特に惣菜・佃煮で「たけのこ」とその他の野菜、たとえば山蕗とかと炊き合わせると「たけのこ」のチロシンが山蕗の表面に白く付くことが多く、説明しても言い訳をしている様にお客様に思われているんではないか?
と私の方が強く言いきれないところがあり、苦労しました。 
缶詰屋の心配事と言えばチロシンですが、缶詰に加工するとえぐみは全く無縁となります。 
京都産のたけのこの缶詰も、他産地のきっとえぐみが多い「たけのこ」も缶詰にしてしまえば、えぐみは感じません。

でも、生たけのこは違いました。


えぐみが苦労となったのは、生たけのこの販売を開始した時からでした。
京都産の世話をした「たけのこ」を土の中から掘り上げた高級な「たけのこ」を販売するのにえぐみのある、無しは大きな問題となりました。
なぜなら、「京都の良いたけのこならえぐみはないと思い高い値段で買っていただいたのに、少しえぐみがあった」とクレームが入った時の私は、何も言いわけ出来ませんし、説明も出来ない状態でした。

本を読んだり先生に話しを聞きにいったり、研究室にお願いしたりしています。 
「生たけのこ」の次に「ボイルたけのこ・氷詰めのたけのこ」の販売をスタートしましたが.、この商品は京都産の白い良い「たけのこ」を掘って直ぐに皮ごと湯がいて、冷やし、氷詰めをしてお客様(主に料亭・ホテル様)に直送するものです。
買ってくださるのはプロの料理人ですので、評価は厳しかったですが、手間がかからず、本物の味が簡単に出来ると喜んでいただき、毎年出荷量(ご注文)が増えています。

たけのこを下茹ですることが大事です

と、読んだ本には書いてあり、米糠や唐辛子を 入れて炊いてくださいと書いてあります。その理由は、「たけのこ」が本来持っているアミノ酸の一種、チロシンが時間がたつと酸化し、ホモゲンチジン酸となりえぐみを感じる様になるので、堀ったらすぐに茹でて、酵素を失活させ、えぐみ成分を増やさないこと。
そして出来てしまったホモゲンチジン酸は米糠を入れることによりアルカリ性の水となったことで 酸が中和され、えぐみを感じなくなる。
そんな効果を期待してのものです。他のえぐみ成分、シュウ酸もシュウ酸塩となり、えぐみの強度に影響するそうですが、同じく早く湯がくことで大きな影響にならないと聞きました。

えぐみはホモゲンチジン酸 やシュウ酸でない、他の違うものでは無いか?


研究室からは、上記の内容で報告を受けました。
その理由はホモゲンチジン酸やシュウ酸の値がほぼ同じなのにえぐみを感じるもの、感じないものがある。
当然ホモゲンチジン酸とシュウ酸もえぐみ成分ではあるけれど、それ以上に関与している何かがあるのでは?と聞き興奮したものでした。

人間の口のセンサーはすごい!!


何はともあれ人間の口はすばらしいものです。 
数字に現れないほどの繊細な違いを人間は感じることができます。
数字にならない程の小さな差を産みだす為に、農家の方は日夜努力を続けてくれています。
酷暑の中でも畑に出かけて、ムシャクシャ(地下茎から伸びてくる細い竹)刈り、肥えやりなど頑張っておられます。
私も私の出来ることをもう少し頑張らねばと気合いを入れています。




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定休日 : お正月3ヶ日のみ

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