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三郎 丸
2018年11月28日 08:23
テーブルクロスを庭先で払うとき、白、緑、白、灰、と視界の色が互い違いに変わる。明るい灰色の霧に覆われた山間の村で、年の瀬の気配を感じる冷たく湿気った週末。昼食の後の気だるい体を霙を吐き出す冷気が纏い、背中に感じる部屋の暖気に思わず身震いする。視界の端には、白く愛くるしい姿のミヌ、犬のことだが、が落ち着かなく縦に横に揺れるテーブルクロスの端を、興味深げに眺めていた。---
2019年11月26日 08:47
深く差し込んだ橙色の光が、濃い群青の砂漠の空を執拗に照らしている。西の丘はその背後に背負った橙色の光に焼かれて、真っ黒な影を砂漠に落とす。群青色と橙色とが争って、濃厚な卵白のごとく浮かぶ雲を一つ二つと染め上げる。暗い暗い夜がやってくるのを知りながら、今一時はその迫り来る孤独を忘れて回り続ける地球を見ている。シンとした、うるさいほどの沈黙。騒がしいほど無口な黄昏の色。その手
2019年11月26日 08:49
何を食べても満たされない空腹が怖い空いた胃袋はそのままわたしの脳みその空白になるどんなものを食べても本質的に満たされない***蛍光灯が埃っぽさを殊の外引き立てる改札を抜ける。我が家は歩いて1分の至近にあるアパート。ひとしきり一人で飲んで、食べて、六千円払って帰ってきたのだ。居酒屋のメニューを前菜からメイン、シメまで一通りなめて、まあ大したことない味だからそのままかきこむように