
児童書の感想②新しめの本中心
前回の読書の感想からかなり経ってしまった…。
最近、新刊の子どもの本を紹介する機会が重なり、せっかくまとめたものを仕事だけで終わりとするのはもったいないと思ってまた書くことにしました。
例によって、大人が読んでの感想であること、出版関係者や書店員ではなく学校司書である(ので何かの回し者ではない)ことをご理解いただいたうえで…よろしくお願いします…。
はっきり言ってネタバレはあります。特に絵本。流石にオチは言わないつもりなのでそれでもいい方はぜひ!
『あなうめえほん』
前提として私はARuFaさんやオモコロのファンなので、絵本が出ると知ってから、かなり楽しみにしていました。
児童書の出版社として有名なPHP研究所だし、「わたしのえほん」シリーズはヨシタケシンスケさんや鈴木のりたけさんなどの本もあったりして、ここにARuFaさんと南波タケさんの名前が並ぶんだなあ…と、勝手に感慨深く思ったりもしました。
なにがあなうめなのかというと、本文中に「〇〇〇」「△△△」「□□□」が出てくるので、読む前に各マークに好きな言葉を決めておき、マークが出たらその言葉に読み替えて読む、そのしくみ。
ある会で大人に紹介したとき、かなり興味を持ってもらえました。発表が苦手なんですが、紹介し終わった後に、「もう一回タイトルと出版社教えて」って言われたのでマジで喜んでしまった。
逆に、子どもにも紹介しました。(ブックトーク)
ざっくり
「お話の中に〇と△と□が出てくるから、読む前に決めておくんだよ!たとえばこのかば、くつした、ちくわだと…お使いを頼まれた時に、スーパーでかば買わないといけないの。店長さんに聞いたらあるっていうし…」
とちょっとめくりながら紹介。
「食べ物入れればいけるとおもうじゃん?でも、別の場面では駅の名前になったり、動物になったりするんだよ」
「言葉を好きなのに変えれば何回でも違うことになって面白いんだよ」
という感じで、1~4年生まで紹介しました。
はっきり言って、めっちゃ受けが良かったです。4年生でも。月曜日には本の取り合いが起こるでしょう。
いつか機会があったら、読み聞かせをしたい。帯にあるURLからカードを印刷できるので、それに事前にことばを書いてくじ引きにして引いてもらい、即興で司書がその言葉を入れて読む、とか!
実力が必要ではあるんですけどね…。
『きみだけの夜のともだち』
海外の絵本ですね。
夜寝るときに、色々考えちゃったり、暗闇が怖かったり、寂しかったりして眠れない男の子、ガスパール。「夜だけのともだちがいてくれればなぁ」と呟いたところ、ベッドの下からネズミが現れ、なぜか家のあちこちにいる動物たちを紹介してくれます。
めっちゃカラフルです。夜の話なのに。家具や小物、動物の色が鮮やかで明るくてきれいです。
動物も、ピアノを練習するウサギとか、本を守る司書のモグラとか、かわいくてなじみのある、小さめのいきもの中心。
ひとりで寝るのが怖い子とかにおすすめかな?
絵がかわいくて明るいし、怖い話でもないので、安心してお読みください。
『ツクルとひみつの改造ボット』
発明好きの主人公、ツクル。ある日、「町になぞのエンジニアがいて、キカイをしゃべれるように改造してるらしい」という噂を聞き、調査をすることにします。
2章?からすでにメイン人物が変わっちゃうので戸惑うんですが、各章でしゃべるキカイがでてくるのでしょうがないか…。
そのキカイも個性的で、方向転換や速度調整までその意思でできてしまう自転車のナビ・パンクスや、お金を入れていないのに相談に乗ってくれたりする公衆電話のエデンなど、名前もあって性格?も違う。
伏線とまではいかないけど、ナビ付き自転車ですれ違う子がツクルだったり、ある章で一瞬出る人物があとでモニョモニョ…みたいなこともあったりして読んでて面白かったです。
『カステラアパートのざらめさん』
小川未明文学賞の大賞作品とのこと。わかる。私もこの本めっちゃ好きになったし。
4年生の「このみ」が拾ってきた猫を飼うため、動物OKの部屋を不動産屋で探しに来たところから始まります。条件に合うのはここしか…と紹介されたのが、カステラみたいな色のアパート。1階に住む大家の皿目さんの名前を「ざらめさん」と聞き間違えてしまうも、そこを含めて気に入られ、カステラアパートでの暮らしが始まります。
アパートで起こる日々の小さな出来事を通して、ざらめさんやほかの住人と飼われているどうぶつたちと仲良くなっていく…という感じです。
ご近所付き合いも、このくらいの距離感でできたらいいんだろうな…と大人目線ではそんなことを思いました。
『すごすぎる色の図鑑』
色の専門書とかって多分、大人向けや実用でもっといっぱいあるんだろうと思いますが、小中学生向けで新しいものとして、これはかなりいいんじゃないかと思います。
美術で習うような光・色の三原色、色相・明度・彩度とかの基本的なことから、「昔の人はどうやって色の名前をつけたのか?」「目がチカチカする色の組み合わせ」、錯視や色弱のこと、デザインにおいての効果的な色の使い方、各色の世界でのイメージなんかがまとめられています。
QA式に近いかな?1つの問いに見開きで答える感じ。
写真もイラストもたくさん使われていてわかりやすいです。
絵を描くのが好きな人とか、デザイン系の仕事を考えてる子に、入門として紹介したいかな?普通に読んでも興味深かったです。
『妖怪は海にいる!?アラマタ式海の博物教室』
偕成社の新しいレーベル『みんなの研究』の中の1冊でした。
このレーベルは、荒俣さんは海の生き物ですが、ほかにも義足、ものづくり、ナメクジ、フードファイトなど、幅広いジャンルで専門家や研究をしてる方などが、きっかけから研究の内容まで書かれていて、読み物としていろいろ知れておもしろ~です。
この海の博物教室に関しては、地球ができて、隕石が落ちて…海ができて…みたいなところも説明しているし、生き物の研究がどこまで進んでるのかとかも書いてあります。
2章くらいからやっと、荒俣さんが出会った海の生き物の話になるんですが、興味があればそこまでもさらっと読めちゃうかな。
イラストや写真もあるし、荒俣さんの説明もめっちゃわかりやすいし、かなり面白い読み物でした。
子ども向けってそれがいいんですよね。全く知らんものについて、わかりやすく伝えようとしてくれるから、入門としてすごくいい。
『カキワリの劇場』
こちらも私は小林賢太郎さんやラーメンズ、カジャラが好きだったので、私情もありつつ紹介。
舞台には詳しくないのですが、大道具の一つに、板に絵を描いた「カキワリ」というものがあるそうで、それがテーマの一つになっています。
「自分が嫌いで変わりたい」と思う男が迷い込んだ劇場で、カキワリだけのショーがはじまる…。
いやあ、これ子どもは怖がりそうだな。
絵が賢太郎さんらしい細やかさ。話もだけど。小林賢太郎ワールドだ。
ただ、怖い本、子どもはすきなんですよね。怖い怖い言いながら、何回も借りていくし。これもそうなりそう。
未読だけど気になってる本
まだ読んでないけど気になるものを羅列しときます
あるコミュニティで紹介されているのを見て買いました。2巻までとのこと…積んでないで早く読みたいぜ。
題名が良すぎる。絵も面白そう。
著者の小手鞠るいさんの本はけっこう読んでいて、好きなんですよね。
これも気になるな~
エイが出てくる絵本と聞いて…。
生き物ではエイとアリが一番好きなので、めっちゃ気になる。
絵が細かくてきれいだしかなりよさそうだぞ。
まとめ
いろんな本を読んだけど、仕事のためという理由もあったので、普通に買った自分の本とかを読めてなかったりするんで、色々読みたいですね。
年度末は忙しくなりそうですが、本もたくさん見るのでまた紹介できたらいいな。