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「熱心な無理解者」になっていないか

「『みんなの学校』をつくる校長研修会」(※)では、全国から集まった30人の先生たちと小国喜弘教授(東京大学)とともに貴重な学びが生まれました。

 なかでも響いた言葉が「熱心な無理解者」です。
 大空小の開校時に、入学後1週間で義務教育を奪われてそのまま6年生になっていた、広汎性発達障害の診断を受けた子どもがいました。
 食にこだわりがあり、入学時の担任は母親から給食は食べさせないでほしいと聞いていたのですが、キュウリくらいは食べさせてやろうと、熱心に指導したのです。
 その日以来、「学校にお化けが出る。怖いよ」とPTSDを発症し、1日も学校に行くことができずに母子で苦しみ続けた5年間を過ごしてきた子どもです。
 学校や地域から「モンスター」のレッテルを貼られて誰一人味方がいなくなってしまい、生きる糧に裁判を起こした母親から学んだのがこの言葉です。

「うちの子どもにとってのキュウリは先生にとってのゴキブリと同じなのです。これがうちの子どもが持つ特性です。先生は体にいいからゴキブリを食べなさいと言われて食べられますか?」

 その日からです。「熱心な無理解者」になっていないかを常に問いながら、子どもに学ぶ自分でありたいと願い続けています

(※)2019年度(記事執筆当時)開催。

次回は5月1日(月)更新予定です。

初出:『教職研修』2020年2月号、10頁。文面を一部編集・補足のうえ掲載しています。


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