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対話しているやつ

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誰かと誰かが喋っています
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#エッセイ

対話 9

あーあ、疲れちゃった。口に出してみるとストンと胸の中に落ちてきた。んーんん、やっぱり私疲れてるのか。そうかそうか。

つかれた、なぁ。

新卒で入った会社を3ヶ月弱くらいで辞めて、学生時代のバイトに戻って月230時間働いて、そこの社員になってみて、今ここにいる。いったい何につかれているんだろう。世の中の多数からはおそらく外れた道を選んでいるんじゃないかな、という引け目だろうか。それとも単にお金が無

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対話 8

最近、誠実ではないってことをよく他人に言われるんだけどさぁ。それについてぺよぺよ考えてる。誠実さってなんだろ?って。私は自分を不誠実だと思ったことはないけど、不誠実に見えるんだろうな、ということは少しだけわかる。

「まぁ、清廉潔白かと聞かれれば絶対に違うんだろうけど。恋人は複数作るし他の人とサシ飲みもセックスもする。安易に人を好きになることも多い。そこだけ見ればそれはそれは軽薄な人間に見えるでし

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対話 7

ばつん。

「痛い?」
「んー、まぁ少しは。ちょっとじんじんしてきたかも」

軟らかい骨を貫通する感触を、私は知らない。いつだって人にお任せしているから。皮膚は知ってる、はじめてのピアスを開けた時に上手くできず、サクサクという音を耳の一番近くで聞いた。不思議な感触だった。腕を切る時に皮膚のその先にいってしまうことがある、それに近い感じ。繊維をちぎっていく、アレ。骨に穴を開けるってどんな手触りなんだ

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対話 6

曖昧なものが、苦手だ。大嫌いよりは好きだけど、好きというにはあまりにも違和感がある。

曖昧なもの。
1人でいる時間。1ヶ月後の予定。いつか、の約束。そして、感情。

「じゃあまた」と別れ際に言わなくなった。「また」が、怖いのだ。無責任なように感じられて、どうしてもうまく口から言葉になってくれない。また会いたいけど、嘘はつきたくないから、嘘になって欲しくないから。精一杯の「ありがとう」で見送ること

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対話 2

「記憶力いいほーの人?」

あーまぁ、割といい方なんじゃないかなぁ。好きになった人達の誕生日は絶対忘れないし、友達も月単位でなら大体わかる。楽しいことも楽しくなかったことも割と覚えてる気がする。前の恋人さんがとってもその辺りが得意ではなくて、毎回「なんで覚えてんのー?」って笑われてたわ。誕生日の日にしこたま詰められたのとか…ね。まぁそれはまた別の話。

記憶力がいいってよりは、忘れるのが苦手なんだ

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対話 5

[恋人がいる状態で他の人と体の関係を持つのは不誠実だしダメだと思う]

ってことを言われたの。ほぇーって思って、確かになぁって。世の中の人の多くがそう思ってて、そういう前提のもと関係を築いてるのは知ってる。未だに腑に落ちたことはないんだけど。

「あーまぁ、君はそういいそうだね。好き勝手やってるし、相手にも許すだろうし。身体なんていくらでも切り売りできるものだからそこにどうこう思うのは良くわか

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