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青ヶ島風 島寿司


青ヶ島は、東京の南350kmのところにある火山島です。島に渡るためには、68km北の八丈島から船に乗る必要があります。船は一日おきに出ているようです。

八丈島は、空港がありますが、日本一着陸の難しい空港です。風向きによっては欠航も多い空港です。
八丈島から青ヶ島への船は、青ヶ島の周りは波が荒いことから、半分近くが欠航になると言われます。

八丈島からヘリコプターもありますが、定員が少なくて予約困難です。これらの理由から、日本有数の訪問しにくい島と言われます。日本一の秘境とも言えます。

青ヶ島は、日本一人口の少ない自治体です。このため、島に飲食店や食事を買う店はなく、旅行者は3食を民宿で食べることになります。複数の旅行者のブログから、青ヶ島では島寿司がよく食事に出るようです。

島寿司は、新鮮な魚を醤油に漬けた「ヅケ」を使います。冷蔵庫がない時代は、東京でも寿司は保存の効く「ヅケ」が中心でした。これを酢飯の上に乗せて握ります。一般的な寿司と違うのは、ワサビではなく、和カラシを使うところです。

ワサビは、山奥の冷たい水の中で育ちます。青ヶ島などの伊豆諸島にはワサビが育つ場所がなく、本土から運ぶのも難しかったので、ワサビの代わりにカラシを使いました。

本土の都市に住む人は、離島は毎日新鮮な魚が入るので、わざわざ冷蔵庫がない時代の保存法を使わなくても良いのではないかと考えます。しかし離島は調達できる食材が限られます。海が荒れると何日も漁に出ることができません。船が入ってこなければ、物資が何日も入りません。だから魚も他の食材も新鮮なものが手に入りにくいです。このため、離島は保存食が発達します。

島寿司は、八丈島で発達し、八丈島出身者が開拓した青ヶ島などの伊豆諸島南部、小笠原諸島、沖縄県大東諸島で多く作られます。

■■■島寿司の作り方■■■20貫分

★寿司酢の作り方★
米酢 500g、砂糖120g、塩45gをボウルに入れてよく混ぜます。
多めに作っておくと、米の状態で酢を多く入れたい時にも便利です。残ったらそのまま酢の物に使えます。ガラス瓶に入れて保存します。

★醤油ダレの作り方★
一般的な八丈島の作り方は、醤油2、甘めの本みりん1、日本酒1の割合で混ぜたものを冷やします。本みりんと日本酒はあらかじめ煮切ってアルコールを揮発させておきます。東京周辺で使われている濃口醤油は、塩分が多く含まれるので、日本酒やみりんで薄めて味を整えます。

私は名古屋のたまり醤油をそのまま使います。八丁味噌の絞り汁で、醤油の元祖です。塩分が低めなので日本酒などで薄める必要がありません。たまり醤油は、八丁味噌由来の旨みが濃厚なので、薄めなくても美味しくなります。

醤油ダレは、家庭によりかなり違うようです。民宿でも違いがあるようです。傾向としては、八丈島は甘め、ほかの伊豆諸島南部、小笠原諸島、大東諸島は甘さを抑えて、伊豆大島や伊豆諸島北部は青唐辛子を入れて辛く作る傾向があります。民宿や本土の料理店はそれぞれ秘伝の味があるので違いを楽しめます。

★ヅケの作り方★
刺身に使える魚を薄切りにして、醤油ダレに1時間ほど漬け込みます。魚は伊豆諸島南部で水揚げされる、マグロ、カツオ、カジキ、カンパチ、シイラ、サワラ、タイの仲間が多いようです。

★★★仕上げ★★★
① 米150g(1合)をよく洗います。洗ったらザルに上げてよく水気を切ります。
②①の米に180gの水を加えて炊飯します。炊きあがると300gほどになります。これはかなり固めの炊き方です。
③炊き上がった米を寿司桶やポールに移して空気を入れるようによく混ぜます。
④混ぜた米に寿司酢30gを通じて加えます。このとき、寿司酢が直接当たらないようにしゃもじに垂らして満遍なくふりかけます。
⑤10秒ほど待って酢が浸透してから、米を全体に大きく素早く混ぜます。米がツヤツヤしてきたら、寿司飯の完成。
⑥団扇や扇風機で風を当てながらよく混ぜて35℃まで冷まします。
⑦冷めたら15gずつ分けて、シャリの形に握ります。島寿司は先に寿司飯を握ります。
⑧握った寿司飯を大きな皿に並べます。寿司飯の上にカラシやワサビを乗せて、魚のヅケを乗せで出来上がり。

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寿司飯を作るとき、米は古米を使います。新米は水分が多すぎて、寿司酢が染み込みにくく、ベタベタした寿司飯になるからです。しっかり水分が抜けた古米を固めに炊くと寿司酢が染み込んで美味しい寿司飯が作れます。

写真は球形です。これは京都の手毬寿司というもので、舞妓さんが食べやすいように1口サイズの球形にしたものです。寿司飯7gを丸く握ってヅケを乗せます。最後にラップでくるんで丸く形を整えます。ラップを使って握るので素人でも作りやすい寿司です。京都では高級料亭の最後の食事に手毬寿司を出すことがあります。

使った材料
米酢 - 千鳥酢(京都、村山造酢)




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