大酒飲みの決断 町田康著/幻冬舎
2020年、未知のウイルスが世界中の人々を不安に陥れました。まだウイルスの全容が知れない中、学校や幼稚園は休校になり、街角からは人の姿が消え、私たちの「ステイホーム」が始まりました。そんなころ、見直されたのが読書でした。読んだことのないジャンルに挑戦、家族と一緒に読書など、普段と違う時間が作れるかも。そのお手伝いとして、京都新聞社の記者がそれぞれ思いを込めた一冊を紙面で紹介しました。あの頃の空気感も含め、note読者の皆さんにも紹介します。
飲まれては歩けぬ人生
私、飲んだくれです。酒の失敗は数知れず。平素は酒場で酔いつぶれ、何とか家にたどり着き、妻に「自分の胸に手を当てて」と諭されて。本書にあるように「我を忘れたうえでの失態・粗相による人格評価のマイナス」を重ねてきました。
どうすれば酒に溺れずに済むでしょう。本書によれば、人間は自分を客観的に見られず、「幸福」でないと不満で、酒や自分に酔って「不満足」を解消しようとするそう。30年間飲み続けた酒を断った著者は、自分は普通以下と認識を改めることで酒をやめ、「人生の真のよろこび」に気づくことができると説きます。
#「幸福」とは何か
最近、「『巣ごもり』で酒量が増えた」との嘆きをよく聞きます。心当たりのある方、本書は禁酒と「しらふ」への道を後押ししてくれるかもしれませんよ。で、私はどうしたか。本書の言葉を借りれば、それは「言わぬが花でしょう」
山田修裕