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【紙博&布博in京都レポート】地元記者が選ぶ!心ときめいたブース3選 紙博編
ここからは、紙博パートに初参戦した廣瀬聡子がお送り致します。布博編(前編)をまだお読みになっていない方は、こちらからどうぞ。
取材前日まで、きらきらした商品であふれた商品カタログとにらめっこし、限られた時間でどのブースにお伺いするか悩み抜きました。叶うことなら気に入ったブース全てで取材したかったのですが、今回は厳選して3つご紹介します。
▼文具雑貨「forme.」
最初に訪れたのは「forme.(フォルム)」さんのブースです。
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マスキングテープや便せん、メモ帳などに、京都の旅行本や喫茶店特集で必ずと言っていいほど見かけるお店のロゴが入っています。その名も「夢ミル京都喫茶巡り」シリーズ。スマート珈琲店、六曜社珈琲店、甘味茶屋京 梅園、喫茶マドラグ(いずれも京都市中京区)、フランソア喫茶室、喫茶ソワレ(いずれも京都市下京区)との公式コラボ商品です。ホットケーキ、ゼリーポンチ、玉子サンド…。各店舗の名物メニューやお店の色合いをモチーフとしたデザインが、かわいらしくも上品に施されています。す、素敵過ぎる・・・。こんなに素敵な商品、どうやって誕生したのでしょうか。
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forme.代表の井波千明さんによると、複数の喫茶店さんとのコラボ文房具の商品化・販売は、井波さんが以前お勤めだった会社での企画だったのだそうです。しかし、商品化を目前にコロナ禍の影響で担当部署がなくなってしまいました。商品化実現のため、井波さんは個人で独立。デザイナーさんとも協力して、販売までこぎ着けたとのこと。
お話を聞きながら、コロナ禍を乗り越えた代表さんや関係者のみなさんの情熱に感謝感激致しました。作り手の方、商品を企画販売して下さる方の思いがあってこその商品。ありがとうございます。
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イベント限定柄のマスキングテープ、スマート珈琲店さんのメモ帳などを購入しました。
▼「MEETS TAKEGAMI/中越パルプ工業」
次にお伺いしたのは「MEETS TAKEGAMI/中越パルプ工業」さんのブースです。
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こちらに並んだ折り紙やノート、全て木ではなく、日本の竹から生まれた紙:竹紙(たけがみ)でできています。触ってみると、独特のハリというかコシというか、ほどよい固さを感じます。なぜ木ではなく竹なのでしょうか。プロジェクトメンバーの方が、竹紙の始まりについて教えて下さいました。竹といえば、京都でも放置竹林が問題になっている地域、結構あります。
1998年、竹紙の生産が始まった場所は、竹林面積が日本一で、竹の子農家さんの多い鹿児島県でした。竹の子の生産性を高めるために5年以上育った竹は伐採していましたが、使い道はありません。地域で燃やすか、山に置いて何年も腐るのを待つか、処分の方法に農家さんたちは頭を悩ませていました。
そんな中、農家さんたちから中越パルプ工業さんに「切った竹を何かに利用できないか」との申し出が。竹は固い上に中が空洞で、木から紙を作るのと比べてうんとコストがかかります。それでも「地域で困っている問題を、他人ごとにしないで自分たちで解決してみよう」と挑戦された一人の社員さんから、紙の原料化がスタート。その後、この取り組みをもっと沢山の人に知ってもらい、共感した人が自ら社会に対して何か行動を起こしてくれることを願って、ノートや折り紙などの商品が生まれたのだそうです。
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こちらでは、笹の葉型の付せんを色違いで購入しました。同じ竹からできた紙ですが、竹本来の色を活かすと、左のようなほんのり暖かい、優しい黄みがかった色合いになるのだそうです。漂白した真っ白のより、こっちの方が好きだなあ。
▼イラストレーター・いのうえ彩さん
最後にご紹介するのは、イラストレーターのいのうえ彩さんです。
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午後3時ごろにブースを訪れると、ほとんどの商品に〝sold out〟のシールが…朝から沢山のお客さんが列をなして購入されていったとのこと。か、完全に出遅れてしまった…。それでも、取材をお願いすると笑顔でご快諾頂きました。
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幼い頃に読んだ絵本、こんな絵柄だったかな…。初めて出会うはずなのに、どこか懐かしい気持ちになるタッチ。洋風なレトロさを醸す黒いラインと色使いに、すっかり心を奪われてしまいました。洋菓子のイラストは、眺めているだけでクッキー生地の手触りや香りまで感じられそうです。
いのうえさんは京都府木津川市のご出身で、京都市立銅駝美術工芸高校で日本画を学ばれました。海外での生活などを経て、現在は福岡を制作活動の拠点にされています。大変個人的なことですが、私は福岡出身で、京都⇔福岡という不思議なご縁を感じました。
イラストを描くのに使っているのは〝ガリ版(謄写版)〟と呼ばれる昔の印刷機。印刷の基となる「ロウ原紙」という透明の紙に鉄筆を使って下絵を写す際、「ガリガリ」と音が鳴ることに由来した呼び名です。
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いのうえさんが使っているガリ版は、京都の古道具屋さんで偶然出会ったものなのだそうです。京都(と福岡)にゆかりのある作家さんに出会えたことがとてもうれしく、つい話し込んでしまいました。作家さんとこうして直接お話しできることも、このイベントの醍醐味なのだと実感しました。
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紙博in京都用に作られたフレークシールと、洋菓子のマスキングテープ、シールセットを購入しました。
他にも、生き物をモチーフにした商品がたくさんあったGreen Flashさん、手紙舎さんのブースでもお買い物させていただきました。ありがとうございました。
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▼紙博&布博in京都を終えて
紙博&布博の翌日、会社の休憩室に集合しました。戦利品を持ち寄り、互いに振り返ります。早速「紙ものお裾分けっこ」で頂いた包みを開封しました。
加藤さんの包みからは、「選ぶ時から気になっていたんです!」という青色の便せんが。実際に手に取ると手触りが良くて、さらに気に入ったとのこと。私が選んだ包みは真っ青なリボンが丁寧に結んであって、それをほどくと、マスキングテープに便せんにメモ帳にはがきに…どんどん出てきます。たくさん入っていたので、加藤さんに「お裾分けっこ」のお裾分けをしました。
購入品も含めて、机の上に全て広げてみました。
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壮観。お互いに柄や色合いの好みがよく反映されていて、「廣瀬さんこういう柄好きですよね」「加藤さんこそ・・・」と、幸せな会話がはずみました。帰ってきて、戦利品を見せ合うまでが紙博布博なのですね。
また、参加してみた一番の感想は「半日では回り切れない」でした。取材の都合上、致し方ないスケジュールではあったのですが、作家さんたちの心のこもった商品を隈なく見て回るには、時間が足りませんでした。それほど、魅力的な商品が山盛りてんこ盛り・・・なイベントでした。先日、手紙社さんから紙博in大阪(8月5、6日)の開催がアナウンスされたので、一緒に参加する際の教訓としたいと思います。次回はプライベートで…。
最後に、ひっきりなしにお客さんが来る中、取材に応じてくださった皆様に感謝申し上げます。
廣瀬 聡子