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相手の気持ちに寄り添うことの大切さ

先日書いたこちらの文章、実は後日談がある。

根津神社で心ゆくまで参拝した私は、次なる目的地「森鴎外記念館」に向かって歩き出した。

しかし歩いても歩いても、それらしきものは見えてこない。地図では、北にあるはずなのになあ・・・(私は、区が発行した紙の地図を持っていた。スマホのグーグルマップとかではないところが、超アナログ!でも私は、全体をすぐに見渡せるから、紙の地図を愛用している。)

暑いし、ちょっと歩き疲れたし、これ以上進んでも迷子になるのは目に見えている。(私は極度の方向音痴。地図を持っていても正確に読めない・・・)

思い切って近くにあった薬局に入り、聞くことに。

すると奥から男性が出て来て、要件を聞くや否や、

「では行きましょう」の掛け声。

「え?」きょとんとしている私の前に立って、外へ。

「ここを渡って、あの細い道をまっすぐに行ってください」

しかし、この場所からではその細い道が電柱の邪魔になって見えない。よく見えない旨伝えると、男性はさらに歩みを進め、確実に見える場所まで案内し、さらに地図で現在地とこれから歩く道、そして目的地をわかりやすく説明。

ここまで親切・懇切丁寧に教えてもらって、恐縮の至り。何回もお礼を言うと、男性は「お気をつけて」との言葉と微笑みを残して、薬局に戻って行かれた。

今回薬局の男性は、私を絶対に迷わない、確実にわかる場所にまで、わざわざ案内し、教えてくださった。しかも忙しい仕事中に、見ず知らずの私に対して。

今まで道を聞けばどこでも皆さん、大体親切に道順を教えてくださった。その時は、その場で目的地のほうを指さしながらだ。

私はこのとき、はっきり悟った。道さえ知っていれば、だれでも教えることはできる。でも、この男性は私の立場を考え、気持ちに寄り添い、わかりやすい説明とともに、行動でも示してくださった。これが、真の相手に伝える・教えるということなのだ。

困っている、または知りたいと思っている相手に対して、必要なことを適切な言葉と態度で、端的に示す。そこにはお礼や報酬や見返りなんか何もない。あるのはただ、相手を思う純粋な気持ちだけだ。

薬局の男性は、そこまで深い気持ちはなかったのかもしれない。当然のことをしたまでだ・・・と。

だが、相手はどうしてほしいのか、相手の気持ちに寄り添うことを忘れてはならない。このことを今回、態度で示し、私に気づかせてくださった男性には感謝しかない。

・・・私は無事、記念館に行くことができた。そして森鴎外ワールドに、どっぷりつかったのだった・・・







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京すずらん
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