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Photo by
susumusekiguchi
今を生きる
先日、あるテレビ番組を見ていたときのこと。琵琶奏者の友吉鶴心さんが、「テレビドラマのセットに木があれば、そこに風が吹いて枝や葉が揺れるときもあるのが普通。その風を送るため、懸命になって風を送るスタッフが必ずいる・・・」というような趣旨の発言をしていた。友吉さんはNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の芸能考証・指導をしている。その撮影現場に立っての発言だった。
私は、友吉さんの発言を聞いて、ハッとした。どんなドラマでも、今まで後ろにあるセットの木に注目なんかしたことがない。ましてや、風が吹いて枝が揺れているか否かなんて、気づくわけがない。しかしドラマ現場には、背景の木に大きな扇風機で風を送り、自然に枝や葉が揺れているように精魂込めているスタッフがいるのだ。このスタッフも、風を送る強さ、角度、高さなどを綿密に計算した上で、風を送っているのだ。この1秒1秒に命をかけて。こんな細かな努力のおかげで、室内セットの中の木も、外にあるかのように自然な風を受けて揺れているのである。
私は、今まで、表面的なことにしか物事を見ていなかった点を自省した。どんなに些細で、表には決して見えないことでも、自分のできる最高の仕事をその瞬間瞬間で全うするのが、プロと言えるのだと強く納得した。まさに「今を生きる」のである。自分も、真剣に「今を生きる」ことを忘れず、今後、日々を重ねていきたい。
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