美容師さんの黒い指先
久しぶりの美容院。今回は、「初めまして」の美容院に挑戦してみることにした。
黒色のヘアマニキュアをお願いする。30代くらいの女性美容師さんが担当。初対面ながらも気さくな方で会話が弾み、小学生2人がいるママさん美容師だった。この美容室はご主人と2人で経営されていて、それほど広くはないけど、センスが良くて落ち着ける空間だ。
丁寧にヘアマニュキアをつけたあとで、しばし放置。その後、髪を洗いドライヤーでブロー。ふと、鏡に映った美容師さんの手を見たら、特に指先が真っ黒!
私「わあ、手が真っ黒ですね」
美容師さん「あ、大丈夫です。私はシャンプーのとき、手袋をしないんですよ。つけると、お客様の実際の髪の様子がわかりにくいし、つけたマニュキアの細かいところがつかめないからなんですよ。」
私はこれを聞いて、プロの厳しい姿勢を感じずにはいられなかった。素手で髪を触ってみて、1人1人に合わせた髪のケアをされているなんて。
手荒れは大丈夫なのか合わせて尋ねてみると、美容師1年目のころは、手から肘くらいまで湿疹や、腫れがあって大変だったけど、それを乗り越えたら平気になったそうだ。
私は、このママさん美容師さんが笑顔で話されるのを聞いて、ちょっと胸がいっぱいになった。こんなにまで指先を黒くして、私の髪をとても自然に、きれいにしていただけたから。これが、全身全霊で働くということなんだな。改めて、働くことの尊さを知った。
美容師さんの方は、当然のことをしているだけで、別に取り立ててどうということはないのかもしれない。でも私には、この黒い指先が、美容師さんの仕事に対する思いや、人生観など、すべてを映し出しているように思えてならなかった。
そして、家に帰れば2人の子どもたちのために、食事の準備などの家事や、学校からのお知らせプリントに目を通し、宿題やら明日の持ち物チェックなどもされているのだろう。何回も手洗いをして、少し黒いだけの指先を見ながら。
私の心に刻まれた、温かくて強い美容師さんの黒い指先。
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