フランス退屈日記♯1: ちゃんと人間か
フランスに渡ってとうとう1ヶ月が経った。「早かったようで長かったなぁ」というのが正直な感想だと思う。1ヶ月もいると街の雰囲気や買い物、フランス語にも少しだけ!慣れるものだったりする。毎日朝早く起きて学校へ行き、休み時間は散歩したり、パン屋さんに行ったり、本を読んだりする。なんだか高校生に戻ったみたいだなと感じた瞬間、半年前の卒業式がやけに遠く感じられたりもした。あの日はどんよりした曇りの日だったっけ。
そういうことを学校の横にある植物園の誰もいないドームで本を読んでいると思い出す。僕はここが好きだ。今はちょうど植物たちも衣替えの時期で情緒的に葉を降らせている。この植物園は時間というものを身振り手振りいろんなカタチで知らせようとしてくれる。こういうことは新宿でのバイト生活のときは考えてなかったかもと思うと、やはり環境が変わったことを自覚するというか(十中八九そう仕向けているのは自分の無意識的な画策だったりするのだけど!)。でも自分が思っていたよりも緩やかな気持ちを保っているのはやはり、あこがれなのだろうか。
昨日パリにも行った。画面や印刷やそのまた心の向こうにあった街に自分がいる。このムズムズを少しずつでも自覚に変えようと、歩いて、一つまた一つと回ってみた。「これは歩くというのがミソで、新宿の時もそうだった」と足が疲れた自分を納得させようとする。エッフェル塔、凱旋門、シャンゼリゼ通り、市庁舎…。それでもやはりそれが確かになったのはカフェの中だった。間違いなくそうだった。西陽がさしていて、僕の隣には1匹の生意気そうな猫が寝ていて、「ムッシュー」と声をかけられたとき。帰りの電車の中でパリという街について考えを巡らせたし、翌日の朝にベットの中でもそうしてみた。でも分からない、言葉にできない。無理やりとは別で、「誠実さに欠けないような、良心に満ちた言葉を探せない」という意味で言葉にできない。ここで写真を撮り続けた写真とりたちは何を思っていたのだろう。なんか新しいことはじめてみたいなと、生意気にも思ったりできる2ヶ月目にしていきたい。くるりの新譜いいな。
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