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川柳、好きすぎる(エッセイ+10句+ネプリ宣伝)

川柳にはまっている。
「サラリーマン川柳」や「シルバー川柳」などの属性川柳ではなく、現代川柳と呼ばれるものだ。

川柳との出会いは、去年の11月、書店の詩歌コーナーで暮田真名さんの句集「ふりょの星」と入門書「宇宙人のためのせんりゅう入門」を見つけたことに始まる。
その日私は短歌コーナーで歌集を探していて、結果的に目当てのものは売っていなかったのだけれど、ふと隣に目をやると(短歌の棚よりスペースは狭かったが)【川柳】と書かれた棚を見つけ、何とはなしに句集を眺めていた。

その中で、ひときわポップな表紙が目に留まり、さらに

意味深な無意味な言葉の羅列。読み終わる頃には、言葉を食べてお寿司を読みたくなるに違いない。
──Dr.ハインリッヒ(芸人)

「ふりょの星」帯文

という帯を読み、これは面白いに違いないとすぐに「ふりょの星」の購入を決めた。
(このとき、隣に並んでいた入門書も、表紙のキャラクターがかわいかったので購入した。)

結果的に一晩で二冊とも読破したのだけれど、その日の夜には「夫婦仲や労働、老いについて何らかの駄洒落を言う」という私の川柳のイメージは完全に覆された。こんなに言葉って自由なの、と衝撃を受けた。

寿司を縫う人は帰ってくれないか/暮田真名「OD寿司」

「ふりょの星」

という句はおもしろすぎてちょっと眠れなくなるくらいだった。これは、怒っているのも、怒っている理由も変すぎる。この連作で寿司はさんざん色んな扱いを受けているのだが、寿司の保護者(板前?)は明確な倫理観持ち合わせてるんだ、あるいは寿司自身が縫われることだけはプライドが許さなかったのか、など色々考えてしまって、寿司を食べるときに必ず脳内で再生される句となった。

また句集を読み終わって、改めてDr.ハインリッヒさんが帯を書いているのはめちゃくちゃ解釈一致だなと思った。
もともとお笑いが好きで、特にDr.ハインリッヒさんは単独ライブも見るくらい好きな芸人さんなのだが、今になって考えてみると漫才のBGMとしてずっと流れている詩性、川柳性みたいなところに潜在的に惹かれていたのかもしれない。
お二人の代表的なネタで「みょうが」というものがあり、冒頭で「みょうがみたいな犬」が登場するのだが、これはほぼ川柳と言ってもいいのではないか。また、ファンしか伝わらないかもしれないが、GERAで放送されているラジオでも「ポエジャン」(「ポエティックだったじゃろん?」の略」)というポエジーに関するコーナーも行われている。
(あとこれはさんざん言われていることだけど、双子漫才師なのに双子のことをまったく漫才にしないというのもかっこよすぎる理由のひとつだ。)

そういう経緯もあり、暮田さんの句集と入門書を読んで私が感じたのは、言葉が浮かんだり点滅したり他者とぶつかって火花を散らすようなこの奇妙な世界への「自分も混ざりたい!」という憧れだったのだ。

短歌を少し始めていたとはいえ、ちゃんと詩に触れたことのない人にも始めたいと思わせるくらい川柳の間口が広がっているのがありがたい。暮田真名さん、さらに句集を面陳列してくれていた本屋さんに感謝です。

川柳はかっこいいしおもしろい。

以下、新作の川柳連作です。

川柳十句連作「今のところは」/京野正午

犠飛の軌道ばかりを映す幻灯機
粉雪に触れたとこから爛れてく
回文のちょっと無理している部分
星。僕は本当松だけを語る
メリッサは植物で、サリ麺は麺
地蔵盆的な感性磨こうぜ
●円錐の惹起▼三角錐の誤記
蕎麦だって座標に置かれたくはない
丁寧な暮らしのあとのダブチ二個
暴×風×雨 弾幕で慰撫してほしい


最後に宣伝です。現在、川柳百句を掲載したネットプリントを発行しています。20円でA3の紙が一枚出てきます。
冊子形式での発行を予定していたのですが、ちょっと情弱でやり方がわからなかったのと、A3の紙に百句川柳が載ってるの面白くないか? と思ってしまったのもありこういう形になりました。
以下の番号で印刷できます↓
セブンイレブン:21878898 2/13まで
ローソン、ファミマなど:9FJC8WHR9G 3/6まで
特にローソン、ファミマで印刷するほうは一か月くらい期間を設定しているので、コンビニに寄った際はぜひプリントしてみてください!
よろしくお願いいたします。

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