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夢見る少女じゃいられない、けど。

続編、というか。そんな感じのもの。
馬鹿でいられるほど、幸せなことがあるだろうか。そんな想いに駆られる。


夢見る少女じゃいられない。そんなことを思っていた。
君の隣で見ていた夢からは、もう覚めた。でも、その余韻は随分長く残っていて、忘れられそうにもない。忘れなくて良いと、思っている。


君の横顔を眺めていた日々。正面から見る君の顔は本当のことなんか映してはくれなくて、横顔だけが君の本当を鮮やかにした。本当は、正面から君と向かい合いたかったけれど。

君には結局、自分から別れを告げた。別れを告げるような関係じゃなかったけど、そうしたかったから、そうしないと自分を見失ってしまいそうだったから、そうした。

俺さぁ。正直、めちゃくちゃ引きずったよ。君が隣にいなくなってからも、何度か交わしたメッセージ。その度に会いたくなって、会いたいって、言ってしまおうかと思ったけど。あの時、やっぱり自分を大切にしようって、今は辛いけど、そうしようって、そう決めた自分を否定したくなくて。正直言うとさ、大好きだよ。多分、君のことを忘れられる日なんか来ないと思うよ。でも、忘れられないけど、あぁ、君を好きになってよかったなって。めちゃくちゃ好きで、その分めちゃくちゃ辛かったけど、あの時、君の隣で過ごせたことは後悔してないなって。そう、今は思える。

あの時、君が俺の隣にいた時、友達から言われた言葉。
「今離れることが辛くても、きっといつか、これで良かったと思える日が来るよ」
あの時は、受け入れられなかった。何言ってんだって、こいつは何もわかってない、俺は君の隣でなきゃ、って。そう思ってた。何も分かってくれなかった友達と、縁を切ってしまおうかとさえ思った。


でもさ。今、今になってやっと。そう思えたよ。友達も、こんな経験してたのかなぁ。だから、あんなこと言ってたんかなぁ。あの時の俺、馬鹿だったなぁ。


そう思うよ。
いつまでも、夢見る少女じゃいられない。


あのまま、君の隣にいられたら。あのまま、君の隣で淡い夢を、悪夢でも見続けていたいと願ったあの夢を、今も見ていたら。全力で馬鹿なフリをして、いつしか自分がフリをしていたことも忘れて馬鹿になって、君を、君の隣で好きなままでいたら。どんなに幸せだったかな。馬鹿でいられることほど、幸せなことってないよなぁ。恋は盲目って言うけど、本当にその通りで。でも、盲目のままいられる人なんか少ない。盲目のままいたくはなかったけど。いられたら良かったのに、そんなことを考える。


あの時君と離れて良かった。あの夢から覚めて、良かった。

でも、ちょっとだけ。




あの時のまま、夢見る自分でいたかった。

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