『岡村靖幸 結婚への道 迷宮編』岡村靖幸
私はアラフォーで、未婚である。岡村ちゃんも未婚である。岡村ちゃんの『カルアミルク』を聞くと、「こんな男絶対いや」と思う。でも野外フェスで見た岡村ちゃんは「近くにいたら世話を焼いてしまいそう…」という色気ムンムンの男性だった。そんな未婚の岡村ちゃんが、色々な人に結婚についてインタビューするGINZAの連載をまとめた2冊目。1冊目は読んでいないのだけれど、これが非常に面白かった。
今をときめく壇蜜さんや、蒼井優さん、柄本佑さん(奥様は安藤サクラさん)、坂本美雨さん(坂本龍一さんと矢野顕子さんの家庭および自分の結婚について)や、私が文系セクシーガイだと思っている内田樹さんや3回の結婚を経た高橋源一郎さん、フェミニストの上野千鶴子さんなどに、未婚の岡村ちゃんが結婚についての話を聞いていく。そこには自分の頭で考えて決め、実践してきた各自のポリシーがにじみ出ている。これが「新しい映画やアルバムのプロモーションのためのインタビュー」であればこんなに深い話にはならない。「結婚」はどうしても考えざるをえないこと、非常に個人的なことだからだと思う。そして聞き手の「知りたい」気持ちと自らの思考が豊かだからだ。
私は「その人がどういうことを大事にしているのか、基準にしているのか」ということに、とても興味がある。劇作家の本谷有希子さんは夫である詩人の御徒町凧さんについて話す。彼は「あなたの子どもがほしい」と言うような女の人の話を聞くたびに彼は「言葉が正確じゃない」と感じていて、対比で、子どもが産んでみたい、誰の子どもでもいいと話す本谷さんが恋愛対象になったという。「そういうことを大事にするのか、おもしろーーい!」と私はときめく。周りの人も親も信じなかったという桃井かおりさんは旦那さんを「絶対裏切らない人」と語る。それぞれの人、夫婦の指針が垣間見えて、たまらない。
岡村ちゃんは「結婚というものをしてみたい」と語る。あとがきで結婚は幸福へと至る一つの過程であり、自分が探求し続けたのは「人間にとって幸福とは何なのか?」ということを追求していたのではないかと書く。わかる、そういうことを黙々と考えたり、人に意見を聞くのは面白い。でもたぶん結婚は考えすぎるものではなくて、実践あるのみなのだと思う。岡村ちゃんは考えすぎだ。人のことはよくわかる。そして私もそうなんだと思う。でもどうすることもできない。来年、理性を吹っ飛ばすほど素敵な男性が現れればいいのにな。
151『岡村靖幸 結婚への道 迷宮編』岡村靖幸
1冊目