『デトロイト美術館の奇跡』 原田マハ
芸術は無駄なのか。誰のものなのか。デトロイト市は自動車産業で栄えたが衰退し、2013年に財政破綻する。これに伴い、デトロイト美術館(DIA)は財政再建のために存続が危うくなる。年金と、美術館はどちらが大切なのか。実話をもとに書かれたお話。
待ち時間のある場所にいくのに本が必要だったので、本屋さんで見つけたのがこの本。薄い、字が大きい気がする。「実話をもとにしている」だって?なら、読めそう。
タイトルで分かると思うが、デトロイト美術館は今も存続している。そのプロセスの話なのだが、私にはきれいにまとまりすぎているように感じた。DIAを愛する善良な市民がおり、美術館スタッフがおり、そしてある解決策がするっともたらされる。(登場人物は1名を除いてフィクション)とても読みやすいし、良い話。でも、私が知りたいのはそれではない。現実にはもっと困って、もっと悩んで、もっと議論があって、もっと奇跡のような展開があったと思う。「事実は小説より奇なり」というように。奇跡を作りものにしては、ご都合主義になってしまう。取材もされているそうなので、この本も全くの作りものではないけれど、もうちょっと生々しいほうが好み。
表紙の「マダム・セザンヌ」という絵について知ったり、さらっと読むのによい本。
156.『デトロイト美術館の奇跡』 原田マハ
▼わたしがアート関連で好きな本。2019年ベスト。
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