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『ミステリと言う勿れ』5巻 田村由美
さすが…さすがすぎる田村由美先生…。人に勧めると「面白い(マジ顔で)」という感想が返ってくるマンガ。名作『BASARA』は27巻、『7SEEDS』は35巻まで行っているけれど、まだ5巻なので全然追いつけます。
友達のいない大学生、久能整(くのうととのう)が細かいことに気づいたり、会話をしながら謎を解いていくミステリ。冤罪で警察に拘留されても、刑事たちの心を一人ずつ掴んでいき、疑惑を晴らす。情熱的だったり義憤に駆られたり、仲間と力を合わせたりもしない彼は、5巻で連続放火犯の事件を追うことに。もちろんこの謎解きが面白い。今回の事件は、最後に読者全員が騙されたと思う。見事。
このマンガの魅力は謎解きだけではなくて、整くんの人柄。友達がいない彼はイヤな奴ではなく(面倒くさいとかうざいが正しい)、マイペースでむしろほっこりしており、桜の木に画びょうを刺すのは心が痛むタイプの人。テンション低めの彼が、流してしまいそうな日頃のモヤモヤを拾って言葉にしていく。「私の言いたいことが全部書いてある」と言った友達も。こんなマンガを一人で作ってしまう田村由美先生に感服。特に何もお礼ができないので、田村先生にどうかいいことがたくさんありますように、と思う。
★マンガサイト『アル』でレビューを執筆しています
友達ナシの大学生が何気ない会話から謎を解く!『ミステリと言う勿れ』
284 ミステリと言う勿れ 5巻