『海が走るエンドロール』5巻 たらちねジョン
作品作りのモチベーションや自信の高低の波。高い時は良いけれど、「もう止めてしまおう」と思うほどコンディションが低くなることが、もの作りをする人ならあるだろう。
65歳を過ぎて映画作りを始めたうみ子さんは諸々の疲労が溜まって倒れてしまう。自分は若くないし、映画を作るのは途方もなく、正解もなく、苦しい。やめてしまおうか。何のために映画を撮るのか、自問自答と他人との関わりの中で探っていく様は、なんだかんだ言ってかっこいい。こんな熱くて重くてモヤモヤと形がない気持ちをマンガとして表わせる、そして読ませるたらちねジョン先生の素晴らしさよ。
この漫画は70代の母親が新刊チェックをしている作品。母親と同年代の友人曰く「65歳はこんなに年寄りじゃない」とその点については不満な模様。若い人が映画作りに挑戦するだけの話じゃないからさ…と、なだめている。あと表紙のうみ子さんの表情が、ただならぬ感じでとても良い。
『海が走るエンドロール』5巻 たらちねジョン