『水辺にて』梨木香歩
土だけでなく、水の上までも自在に進むひと。
私はペーパードライバーなので、時にスコットランドを走り抜け、日本ではカヤックを載せた車で思いの水辺に行く梨木さんを本当にかっこいいと思う。「私が男だったらやってたんだけどね〜」なんてエクスキューズがアホらしい。しかも植物や鳥に詳しい。かっこいい…
そんな彼女がダム湖に浮かびながら水没した村に思いを馳せて物語を紡いだり、北海道の川でかつて読んだイギリスの話を思い返したり。美しい森の様子、荒涼としたアイルランドの様子などが目に浮かぶように書かれている。ふかふかした土、露できらめく葉、森の中の香り、そういったものが立ち上がってくる。
彼女の素晴らしい描写力はもちろん、美しいものを、知らないものを見たい、体験したい、という彼女のキラキラした好奇心が伝わってくる。美しい宝石を見て嬉しくなるような気持ち。
今回、女性作家3人のエッセイを続けて読んでみた。誰が一番自分に近いだろう?と考えてみた。「一番」はなくて、自分はそれぞれのエッセンスみたいなものをちょっとずつ持ってるな、と思った。
67. 『水辺にて』梨木香歩
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