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『CUT 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』 内藤了

藤堂比奈子のシリーズはおぞましい事件で幕を開ける。穏やかな猟奇犯罪は猟奇犯罪ではない。一作目(86 『ON』)の反省から、ある程度まとまった時間がある時に凄惨な序盤からある程度安心できるところまで一気に進めるという戦略で読んだ。

今回はけっこう虫が出てくる。蛆虫に詳しくないので鮮明に想像できなかった、よかった。そして1作目に登場したメガネ男子(私は20年にわたってメガネ男子好き)が再登場したので喜ばしい。

2冊読んでみてわかったのは、私はミステリでは大いに騙されたいと思っているということ。私がミステリに求めているのは想像を超えた大どんでん返し。「やられたー!さすが・・・!」と舌を巻きたい。どちらかといえば、このシリーズは比奈子ちゃんと一緒に同じ目線で謎解きをしていく。筆者がうまくリードしてくれるので、読み進めながら犯人の目星がついてしまう。自分で謎を解くタイプが好きな人もいるだろう。好みの問題だ。

最後まで読んでみてタイトルの『CUT』の意味がわかった。そして大判焼は各地で名前が違うことを初めて知った。私は大判焼と今川焼しか知らなかったな。

89 CUT 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子


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