『本当はちがうんだ日記』 穂村弘

MAY 16, 2018 Instagram掲載

この人、ひどい。夜中にお腹が空いて目が覚めて、電気をつけずに台所を漁り、食パンとハチミツをベットで食べて、指だけでなく首までベタベタにする。女の子とキスする時は「好き？」とか訊かれるのは嫌で、性欲だけのキスがしたい。若い頃は八方塞がりで暗くて、かなり重い。そんなに自分の悪いところばらしちゃって、引かれるとか、嫌われたりとか心配じゃない？とこっちが心配になる。でも、あれ？私ほむほむのこと嫌いになってない。一瞬ドン引きするのは確かだけど。

素敵な飲み物だからエスプレッソが好きだ、でも苦くて飲めたもんじゃないという話で、岡村靖幸の『カルアミルク』を思い出す。かっこつけてバーボンソーダを飲むけど、美味しいと思えない。カルアミルクを一緒に飲もうよ、という筋で、かなりヘタレで自分勝手な要望が散りばめられている歌だ。

一度フェスで岡村ちゃんを見たことがあるのだが、すごく面倒くさくて、セクシーな人だなぁ、という印象だった。 「人は長所で尊敬されて、短所で愛される」とはひすいこたろうさんの名言だけど、彼らは短所をひっくるめてとてもチャーミングだ。
あー、人って自分も含めて思っているより優しいんだな、私も甘えてもいいかも、と思った1冊。

でもこの二人と一緒に住んだりしたら怒り狂うな、絶対。布団で食うな、自分から謝れ、と。

9. 本当はちがうんだ日記

本当はちがうんだ日記 (集英社文庫)