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日本観察日記その2
前回に続き、自分の感覚が新しいうちに、帰国して、「あれ?」と思ったことを書き連ねるコーナー。
再び言うと、これは、誰かを非難したり、貶したりすることが目的ではなく、個人として感じた自分自身の観察で、誰か(何か)の参考になれば幸いです。
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7.規則は誰のもの?
これは、帰国直後に、北海道で出稼ぎ中、「絶対休んで」と与えられた休日を消化すべく、近場の温泉に一人出かけた時のこと。
いや〜、山を見ながらの露天風呂は、誠に天国だった。
温泉に浸かりながら、空を眺め、リクライニングチェアにゆったりと座って過ごす極楽時間・・・
温泉というものがあることの奇跡。
ああ、日本人でマジ良かった。山の緑は美しいし、生まれたままの姿で、袖触れ合える豊さよ。あぁ、私、一生ここにいてもいい、くらいに昇天しつつ、お腹も減ったし、さて、ご飯でも食べましょう、と館内の食堂に移動した時に事は起きた。
携帯のバッテリーが死にかけてることに気がついて、ちょうど座った板の間の脇にコンセントがあったので、充電しながら、今か今かと定食を待っていると、やっと丼が運ばれてきた。
そして、テンションがMAXに差し掛かった時、お給仕の女性がこう言ったのだ。
「恐れ入りますが、充電はお断りしておりますので。」
は??
携帯の充電をしては・・いけない???
私は目を丸くして聞き返した。
「え!もうバッテリーが切れそうで、帰りのバスの時間が調べられなくなっちゃうから、ちょっとだけダメ??」
女性はちょっと困ったような顔付きで「はい・・申し訳ございませんが」とだけ言って去っていった。
ペコペコだったお腹(胃)がきゅっとなり、食べることも忘れ、茫然となる。
私・・・ここに入る時、お金払ったよね?それも結構な額を。
その場所で、携帯の充電をしちゃいけないってどういうこと???
しかも、こんな山の中で、携帯切れたら困るーーーーー!!!
諦められない私は、通り掛かった別の若い女性を捕まえて再び聞いた。
「ねね、ちょっとだけ充電してもいい?帰りのバスの時間見れなくなると困るのよ〜。」
しかし私のお願いモードは秒で却下され、娘ほどの年の女性はこう言った。
「申し訳ございませんが、規則ですから」
き、規則ーーーーーー?!?!?!?!
私の毛細血管はついにブチ切れて、口からこんな言葉が飛び出した。
「あのさ、私、後進国から来てるんだけど・・・貧しい国でさえ、人が困ってたら助けてくれるよ。規則って、私たちの生活がより潤滑にいくように作られただけで、お金払ってここにいるのに、充電させてくれないなんて、せこくない??
そんなケチくさい規則、変えた方がいいよ!なんなら50円値上げして、その代わり、充電し放題にした方が、絶対イメージいいって!そう社長に今すぐ言って!!!」
若い女性は、無表情を崩さないまま、その場を去っていった。
すっかり冷め切ったカツ丼。
それまで昇天しそうなほどにハッピーだったのに、私のテンションは一気に落ち、そして悲しくなった。
規則にがんじがらめ・・・
そんなカルチャー、いまだに残ってたんだ。
というか、あんなに若い、可能性に満ち溢れた若者が、そんな呪縛に囚われて自分で自分の首を絞めてるなんて酷くない?
日本人って、皆真面目だから、その性質を、逆利用されてるんだなぁ。
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私がそれをここで書いたところで、世の中が引っ繰り返る訳ではないけれど。
でも私は思うよ。
おかしいって思う規則なんて、どんどん声に出して、変えるか、失くしていけばいいんだよ。声に出さなきゃ、何も変わらない。
意気消沈して食べたカツ丼は、あまり楽しめなかったけれど、温泉自体は良かったし、日本にもいいところたくさんあるから、私は諦めないよ。
=We are the change we want to see in the world=
(自分が見たいと思う世界の変化に、自分自身がなろう)