歩く
あの用水路の向こう側
どうなっていたっけ
緑の芝生がずっと続いていて
綺麗に整頓された空と水
その向こう側を覚えていたのに
忘れちまった
そんな昔のこと
今はヨロヨロと歩くのがやっとで
遠くまで行けない足が
もっと早く歩きたいようと
右足と左足をゆっくりとバタつかせている
まるで過去と未来が噛み合っていないみたいな
水面下で魚達が群れをなしていた
あの頃とは違う自分なのに
分かってもらえない
傷はいつ癒えるだろうか
はて、いつだろう
その日が来るのは
そう感じた時
眩しさが走馬灯のように
目の前を掠め取っていった
下を向いていた
顔を上げて
靴に泥が付いたから
はたいて待とう
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