コーヒーと私。
ワニ休み(ワニさんお夏休み)の期間、彼の郷里の金沢に帰省する。ワニ休みの決まり事は1つあって〝その期間は何もしないでのんびりする〟と言われてる。結婚してから毎年訪れるその休みに私は義母さんと義父さんにとても気を遣う。3人揃って「気は遣わなくていいよ、自分の実家だと思ってのんびりして」と言われれば言われるほど気を遣った。「普段東京で勇人(ワニさんの本名)の世話をしてもらってるんだから料理もしなくていいよ」と義母さんに言われた時は台所=女の城だから触らない方がいいのかもねと思った。なので料理はしないが毎回3度の飯は食わねばならぬので、その度やっぱり気を遣った。帰省中は家の1番奥にある客間が寝床になるのだが、そこに立派な民藝のタンスがあって本棚として使われている。「時間があったら読んでもいいよ」と優しく義母さんにいわれて古い本を手にすると中川ちえさんがらみの本が多くこれまた気を遣う。そちらにもこちらのもあちらにも気を遣い続けて気が休まる時がなかったが、10年目にして私に変化が起きた。全くないする気がなくなった。食事は「遠慮せんと食べまっし」と言われるものから率先して食べることでその言葉を封じ込まれることに成功する。ちえさんがらみの本たちは一体この人はどんな人なんだろう?この時代に何がおこっていまワニさんは生きているんだろうと思うとふと思った。すると、いつもいろんなところやことに気を遣うが一度ありのままに感じることコーヒーと私のことを書くのもいいかもと心の声がした。するとさらに、気を遣わないワニ休みになった。やっと慣れたか?と思った瞬間、「今日から実家でコーヒー淹れるのはお袋じゃなくんて君にお願いするよ☺️」とワニさんに言われて何もしない基本が打ち崩された。母さんが淹れると変な味がするからお願いと言われて新しい気を遣った。