HSPの本当の課題は、HSPでない人を理解すること

こんにちは、きょうこと申します。

HSP(Highly Sensitive Person)という言葉は、かなり一般的になってきたと思います。「とても敏感な人」という意味で、次のような特性をもつ人を指します。

●考え方が複雑で、深く考えてから行動する
●刺激に敏感で疲れやすい
●人の気持ちに振り回されやすく、共感しやすい
●あらゆる感覚が鋭い

これらの特徴に当てはまる場合、HSPである可能性があります。今日は、「HSPの本当の課題」をテーマにお話ししたいと思います。

HSPは精神疾患ではなく、生まれつきの気質です。後天的な性格とも違うので、直すことはできません。5人に1人くらいはHSPだと言われています。

私は、HSPという概念に照らし合わせれば間違いなくHSPだと思います。困っていることとしては、

●聴覚が敏感で、電車の発車メロディや人の話し声などがうるさく聞こえる。大きな声が聞こえると心臓がバクバクする。
●アニメや映画の登場人物に感情移入しすぎて辛くなったり、自分の中にあるネガティブな感情が出てきたりする。
●事件や事故のニュースを見るととても悲しくなり、ストレス過多になるので見られない。
●肌の感覚が敏感なので、綿100%の服でないとなかなか着られない。服のタグがチクチクして不快。
●味覚が敏感で好き嫌いが多い。また、味が落ちるとすぐわかってしまうので、基本的にその日のうちに食べる分しか作れない。
●人の気持ち、特に自分に向けられた敵意や嫌悪にものすごく敏感である。人が少しでも自分を嫌っていたり、機嫌が悪かったりするとすぐわかる。机にペンを置く音ひとつでも、その人の機嫌が手に取るようにわかる。
●なんでも深く考え過ぎる。最悪のシナリオを想定してしまい、延々と考え続けるのがやめられない。
●きわめて傷つきやすい。相手にどう思われるかを考えすぎて、自分の意見を言えない。

パッと思いつくだけでもこれくらいは出てきます。

このように困っていることが多いので、「自分がHSPでなければ良かったのに」といつも思っています。

世の中にHSP関連の本はたくさんあるのですが、それらの本を読んでもモヤモヤが晴れずにいました。

どうせ直せないのに、自分の特性を知って何になるのだろう。HSPというラベルを付けるだけで、何が解決するのか。「HSPに向いている仕事につきましょう」と言われても、今ある仕事を変えられる人は少ない。HSPの生き方のコツを読んでも、無理やり社会に適応するような方法ばかりで、結局「HSPじゃないほうが良かった」としか思えない。

そんなモヤモヤの正体がわかったのは、昨日友達とLINEをしていたときです。

話しているうちにわかったのは、「世の中にあるHSPに関する情報は、HSPがどうやって社会に適応するかという文脈ばかり。HSPでない人に対して、理解してほしいという主張ばかり」ということです。

HSPでない人にとっては、HSPという概念は「甘え」でしかないと思います。HSPだから理解してください、HSPだから気遣ってください――「そんなのメンタル弱い人が勝手に作り出した概念でしょ?」「HSPでないと人の気持ちがわからないと言いたいの?」などと思われても仕方ありません。

さらに、「HSPがどうやって社会に適応するか」と言っている時点で、HSPはネガティブな特性だと言っているに等しい、と思うのは私だけでしょうか。HSPは病気ではない、強みになると言っておきながら、結局はHSPというネガティブな特性を補う話ばかりなのです。

そこで私たちが考えた「HSPの本当の課題」は、HSPでない人を理解することです。他者理解こそがキーワードなのではないかという結論に達しました。

「まず理解に徹し、そして理解される」という格言があります。先日も引用しましたが、コヴィー氏が提唱した「7つの習慣」の1つです。

理解してもらいたいなら、まずは相手を理解しなければいけない。なぜなら人間は「理解してほしい」という強い欲求をもつものだからです。

HSPは、自分の特性を理解するだけではなく、HSPでない人のことをたくさん想像し、理解すべきだと思います。HSPでない人から見れば、「深く考え過ぎる」という特性は「どうしてそんなにクヨクヨするの?」。「刺激に敏感」と言われても、「誰だって大きな音にはびっくりするんじゃない?」。「傷つきやすい」と言われても、「そんなの気の持ちようじゃない?」。こんな風に思ってしまうのは悪いことではなく、仕方のないことです。自分とは違う他者の基準を理解するのが難しいのは、お互い様なのです。

相手を理解してこそ、今度は自分を理解してもらうためのプレゼンができるのだと思います。相手の基準がどういうものかわからなければ、いつまでも自分の基準で話してしまうことになるからです。その状態でわかり合うことは不可能です。

私は、自分がHSPだということはよくわかりました。次は他者理解を進めていきたいと思っています。「理解してほしい!」と主張する前に、相手がどういう基準で世界をみているのか、理解に徹しようと思います。それができて初めて、互いに理解し合う道が開かれるのです。本当の意味で生きやすくなるためには、HSP同士の理解だけでなく、人口の8割を占めるHSPでない人との相互理解を進めていきたいです。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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