「アソシエーション論」とはなにか――【用語集】『〈自己完結社会〉の成立』
「アソシエーション論」 【あそしえーしょんろん】
人間論としてのマルクスの再解釈から出発した「第二次マルクス主義」による「牧歌主義的―弁証法的共同論」と密接に関わり、人間存在のあるべき様式を「自由な個性と共同性の止揚」と位置づけ、公共性(公共圏)論などとも共鳴しつつ、それをNGO、NPO、ボランティア団体などに投影した理論。〈自立した個人〉の具体的なイメージも提供した。
2000年代初頭においては、市場経済的な領域にも、国家的な領域にも属さないこうしたアソシエーションが、「市場の失敗」や「国家の失敗」を補完し、あらゆる社会的な問題が解決されていくかのようにも語られた。
しかし現在では、こうしたアソシエーションの一定程度の定着と同時に、頭打ちも見受けられる。理論的な問題点としては、建て前の自由や自発性とは裏腹に、アソシエーションにもある種の抑圧や強制の芽があること(これは人間が形成する組織である限り避けられないだろう)、自由と自発性を強調するなら、関心が合致しない人々による不参加の意思、連帯そのものを拒否するという人々の自由もまた認めなければならないにもかかわらず、予定調和を前提に、こうした点が無視されてきたことがあげられる。
このページでは、筆者が2021年に刊行した『〈自己完結社会〉の成立――環境哲学と現代人間学のための思想的試み(上巻/下巻)』(農林統計出版)に登場する用語(キーワード)についての概略、および他の用語との関係について説明したウェブ版の用語集のnote版です。
(現在リンク先は、すべてウェブ版を借用していますが、徐々にnote版に切り替えていく予定です。