ツバクラメ
六の字描いて風を切り
九の字描いて風に乗る
あれは令和の若者だ
巣立ちの後の夏休み
咥えた羽虫の数競い
親が旅した海原と
お前が生まれた大空が
染めた羽毛の輝きを
どうか存分日に焼いて
青い反射の黒色を
白露の夕陽に見せてくれ
お前の故郷はこの町か
それとも南のエメラルド
沈んだ炎を追いかける
長い旅路の滑空が
お前の姿に相応しい
やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール