壱貫亨治

風来詩

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誰の歌

誰の歌 聴こえるか どんな時 聴こえるか 今今を 通り過ぎ 帰るまで 旅に行く 目を閉じて 聴こえるか 心へと 聴こえるか 幾千の 花々が 未来永劫 咲くように 誰の歌 聴こえるか いつだって 聴こえるか

    • やがて来るもの

      星の巡りに諭されて 心も頭も回るから 思い付いたらなんでもさ やってみたって悪かない 昨日の自分て誰だっけ 毎日毎日死にながら 悔いがあろうがなかろうが とことん命を味わって 愛でも夢でも語り合い その時その時見つけたよ たった一つの答えでも 嘘になろうとかまやしない 描いてしまった筆跡も きっと幾重に連なって これで良いよと歌うなら やがて来るもの待つばかり

      • 濃い土色をして 泥の上を這い 追いかけられている 訳でもないが どうしてそんな 必死に逃げ惑うのか 誰にも捕まらない その為に狡猾さを 無口と饒舌に 挟み込んでは 舐め回し続けて 爛れ切った舌先 植え付けられた 束の間の幸福だけを 求める緊迫と快楽 間違っているなど 思いたくもない 手も足も無かろうと

        • 言葉を吐いたら

          言葉を吐いたら それで終わりに そんな身勝手 馬鹿な言い訳 言葉を吐いたら ずっとうろつく その曖昧な まとわりつく響き 言葉を吐いたら 自分が自分に 一番近くて 最も遠い 言葉を吐いたら その顛末も 請け負うだけの 腹はどこだか

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        • 205本
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        記事

          ついさっきまで

          ついさっきまで 私だったものも ついさっきまで 君だったものも ついさっきまで 許せないものも ついさっきまで 大事だったものも ついさっきまで 隣にあったものも ついさっきまで 夢見ていたものも ついさっきまで ついさっきまでのもの

          ついさっきまで

          不在の住人

          記憶はなんだか 不確かな根拠 なのに囚われ 輪廻の変遷 不在の住人 そこもかしこも 溢れかえって 残滓に集る 眺める周囲に 自分の居場所 探そうなどと もう片付けて 不在の住人 俺もそうだと 思いながらも あばよと言って

          不在の住人

          トンボの羽

          一人きりの平日 何かしようかとも 浮かばない数日 彼岸はとうに過ぎ 蜘蛛の巣も綻び 太陽は少し落ち 二度とない本日 何を望もうかとも 足を掬いたがる過日 ありがとうとだけ 精一杯の伝言 聴きたいのは私 最後の一頭か 頭上を旋回して着地 虹色に照るトンボの羽

          トンボの羽

          未来の僕から

          何をしたって 別に良いから それで気になる 事があるなら どうしてなのか 自分に聞いて 答えはすぐに 来ないとしても ましてやずっと 音沙汰なくても 笑えるくらい 落ち込んでみて たとえばどこか 辿り着いたら 望みも不満も 風景にして 新たな旅路の 思い出ひとつ

          未来の僕から

          わたがし

          いくつかの自分 並べてみれば 別々なようで 離れられない どっちが上でも 下でもないけど 水が低きに 流れるように 宇宙の法則 きっとあるから 現実だろうと 幻想だろうと 全部楽しく 遊んでいようと ザラメを入れて わたがしを作る

          わたがし

          平日の地鳴り

          よくある平日 あいも変わらぬ のっぺりとした感触 だから見ている いずれは剥がれ 晒されるだろう本性 腐れた食い差し 朽ちようとする果実 その身に隠し持つ種子 いつかの吸い殻 道端に潰れたまま その時の記憶だけに惰眠 頭上か足下からか 唐突に響く地鳴り 何らかの徴としたい願望

          平日の地鳴り

          ガラス細工

          きらきらしている どこか不自然 そんな眼差し 視線を追って 言葉を置いて 覚束ない足取り 何も持たずに 買い物に出掛け 雨が降ろうと 気に留める事もない 記憶はどこか 一定の風景へと 吠え続ける犬 薄暗い玄関の向こう 知らない人の名前 懐かしげに語る それは本心かどうか 今となっては有耶無耶

          ガラス細工

          振り返ること

          たくさんの記憶があるはずなのに 思い出そうとすることも億劫だから 忘れてしまった振りの身勝手な決心に 安心しきったような解けない暗示をかけて 可笑しな現世利益的説法との契約に署名 有難いお守りやお札を全身に貼り付け 毎日の儀式や儀礼を通じて自らを洗脳する 別にそれで満足できるんだったら 自由に好き勝手やれば良いんだろうが 限定的な想念の世界の見せ物としての奇跡 心を奪われて行く程に慢心へ導く恍惚が 人生を終える時もしくは終えた後にこそ もしや取り返しのつかない過ちであったか

          振り返ること

          問い続けろ

          お悩みは 選んだ思考の パスワード 間違い続きで 閉じ込められる 逃げるには 過去に戻るか リセットか 向き合う今を 見落としたまま 描くのは 苦役列車か パラダイス いずれにしても 望みの通り 殺したら 殺されること 覚悟せよ 狂い始めた 林檎の時計 変われるさ 獣や草木に 語り掛け 一人じゃ無いって 泣いた喜び

          問い続けろ

          みんな違って争った

          大きくなる人 小さくなる人 白っぽい人 黒っぽい人 守りたくなる人 壊したくなる人 みんな違って争った 上にいるだけの人 下ばかりにいる人 美食を嗜む人 食うや食わずの人 天国を信じていたい人 地獄を作り出したい人 みんな違って争った 夢に囚われてしまった人 夢さえ見れなくなった人 生きようとして命を奪う人 生きようとして命を奪われた人 祈りを求めようとする人 祈りの犠牲になろうとする人 みんな違って争った 嘘を嘘で隠している人 嘘に嘘で隠されている人 自由を自由

          みんな違って争った

          欺き野郎

          欺き野郎は成りすまし 善人賢人人徳者 思い込んだら限りなく モノホン仕立てでやって来る 安心立命お約束 疑う余地など埋立地 ユメノシマよとバカンスへ 誘う海辺のマスコット 我らは間抜けなお人好し 無知が自慢の好奇心 欲を隠して欲育て 甘い話にゃノーガード 最初は当然良い塩梅 お陰で益々ぬめり込む 進んだ分だけどっぷりと 思考の泉も柵の中 気付いた所で他人のせい 罪人探して這いずれば 同じ仲間と鉢合わせ 割れた鏡が突き刺さる 自ら選んだ自由だと 思い至るも口惜しい 変

          ざんざんざんざん

          ざんざん ざんざん 朝なのに暗い部屋 誰か目覚めたかしら 音が音たちを 連れて来るから 互いに重なっては 抱き合いながら どこからが私で どこまでがあなたで わからなくなったら きっと本当でしょう 感じていられることを 見つめているだけで そっと笑えたなら 嘘だって無くせるように 私とあなたが 私とあなたに 伝えられたなら きっと愛せるでしょう 誰も目覚めていない 雨なのに静かな部屋 ざんざん ざんざん

          ざんざんざんざん