『医龍』に学ぶ教師論②

漫画『医龍』の台詞をもとに教師としてのあるべき姿を考える連載の第二弾です。


前回は、助手の木原毅彦が発した「手術は成功した。ーーしかし、患者は死亡した。」という言葉をもとに教師論を考えました。

今回は、その手術の後に朝田龍太郎が発した言葉をもとに、教師論を考えます。


前回の記事でも紹介した通り、このシーンでは、最終的に、朝田が執刀を代わって患者を救いました。

しかし、朝田をスカウトして病院に連れてきた加藤晶は、執刀医である木原の判断に逆らって勝手に手術をした朝田に対して、そんなことは許されないのではないかと迫りました。

それに対して、朝田は、次のように言いました。

「許されないなら、あんたがもう一度殺すのか。」

結局、朝田の勝手に手術をしたという越権行為は、加藤の画策によって不問に付されることとなりました。

このことから、どのようなことが言えるでしょうか。


結局、朝田が無茶な越権行為をしても不問に付されたのは、手術が成功し、患者が助かったからだと考えられます。

たとえば、ここで、朝田の手術が失敗していたら、朝田の越権行為は問題化されざるを得なかったでしょう。

このシーンで、もし手術が失敗していたら、朝田を守る理由は何もありません。

しかし、手術に成功し、患者が助かっているからこそ、越権行為を問題化せず見逃すということが可能になったのです。


教師にも同じことがいえるように思います。

学校現場の問題に抗って何かをしたときに、子どもや保護者からの絶大な信頼を得ている教師は、なかなか職場でも批判されません。

一方で、子どもや保護者からの信頼を得られていない教師は、学校現場の問題に抗って何かをしたときに、反発を受けやすいです。

そのような目で同僚を見ることが良いかどうかは別としても、実態として、子どもや保護者からの信頼を得るという実績を上げている教師の言葉には説得力が宿りやすいのです。

もしかすると、職場で自分の意見を通したいと思ったときの一番の近道は、案外、子どもや保護者からの信頼を得ることなのかもしれません。


今回の記事では、『医龍』の「許されないなら、あんたがもう一度殺すのか。」という台詞をもとに、教師論を考えました。

いかがだったでしょうか。

それでは、次回も、お楽しみに。

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