『医龍』に学ぶ教師論⑦

漫画『医龍』の台詞をもとに教師としてのあるべき姿を考える連載の第七弾です。


前回は、伊集院登が発した「手術は競争(レース)じゃねえ。勘違いするな。」という言葉をもとに教師論を考えました。

今回は、「僕はただ、スキルアップのチャンスが欲しかっただけだよ。」という言葉をもとに、教師論を考えます。


漫画『医龍』の第九巻に、伊集院登の同期の研修医である鱈淵純が、患者の急変の連絡を受けたときに、ベテラン医師の中田浩道を呼ばずに自分で対応しようとするも、自分では対応の仕方が分からず、危うく患者の命を落としてしまいそうになるシーンがあります。

結局、患者は、中田と伊集院の奮闘により助かるのですが、鱈淵は、勝手な行動をしたことについて、中田から注意を受けます。

注意を受けた鱈淵に対して、伊集院が「中田先生呼ばなかったの………?」と言ったときに、鱈淵が答えた言葉が、次の台詞です。

「僕はただ、スキルアップのチャンスが欲しかっただけだよ。」

たしかに、技術的に医者としての責任が果たせないときには、急変の患者が現れた場合、研修医が自分一人で対応しようとせずに、ベテランの医師を呼ぶことは必要です。

しかし、鱈淵がそのような対応をすることができなかったのは、日頃から、研修医には、自ら責任を引き受けて判断して処置を行い患者のために貢献するという経験を積むことができずに日々が過ぎていってしまうことへの焦りがあったからなのかもしれません。

そうであるとすれば、研修医に対しても、適切な範囲で、自由裁量を保障したり、スキルアップの経験を積ませたりすることが必要なのではないでしょうか。


教師にとっても同じことがいえます。

公立学校では、多くの場合、若手(とりわけ一年目[初任者])の教師に対しては、指導教諭がつき、研修が行われるという手厚いフォローのシステムが採用されています。

経験の浅い教師に対するフォローは確かに必要ですが、一方で、経験の浅い教師にも、適切な範囲で、自由裁量を保障したり、スキルアップの経験を積ませたりする必要があるように思います。


今回の記事では、『医龍』の「僕はただ、スキルアップのチャンスが欲しかっただけだよ」という台詞をもとに、教師論を考えました。

いかがだったでしょうか。

それでは、次回も、お楽しみに。

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