『医龍』に学ぶ教師論⑩(最終回)

漫画『医龍』の台詞をもとに教師としてのあるべき姿を考える連載の第十弾(最終回)です。

これまで紹介してきた『医龍』の台詞とそこから導き出した教師論をまとめます。

①手術は成功した。ーーしかし、患者は死亡した。
→ 授業の目的は、子どもがその授業の中で意味のある学びをすることであって、ただ教師が決めた筋道通りに授業を行えば良いわけではない。

② 許されないなら、あんたがもう一度殺すのか。
→ 職場で自分の意見を通したいと思ったときの一番の近道は、案外、子どもや保護者からの信頼を得ることかもしれない。

③ やはり教授の意見には逆らえなくて……
→ 教師も、ときには、学校に通う子どもたちのことを第一に考えて学校の意向と異なる考えを貫き通す必要がある。

④ 「医者」は、命と患者の人格は分けて考えた方がラクだと思っていたのに…
→ どんなときでも、子どもは人格を持った一人の人間であることを忘れず、指導をしたり評価をしたりするときにも、人として尊重する姿勢を貫くことが必要である。

⑤ お前が引き受けて、お前が切った患者だろオ。責任はお前が取るんだよ。
→ 最終的な子どもに対する責任は、直接的に、その言動をとった教師が負うべきである。

⑥ 手術は競争(レース)じゃねえ。勘違いするな。
→ 教育も、競争(レース)に勝つことを目的とするのではなく、子どもにとって意味のある学びを生み出すことを目的とするべきである。

⑦ 僕はただ、スキルアップのチャンスが欲しかっただけだよ。
→ 経験の浅い教師にも、適切な範囲で、自由裁量を保障したり、スキルアップの経験を積ませたりする必要がある。

⑧ ーーえてしてそんな子が、いい医者になるものよ。
→ 子どもたちに有意義な学びを保障することができたかどうかということを日々振り返り、その中で、うまくできなかったかもしれないと不安に思うからこそ、その自分の課題を克服するためにいろんな実践に前向きに取り組むことに意義がある。

⑨ 面白いからだよ、人を切るのが。
→教師は、子どもにとって有意義な学びの場をつくるという倫理性と、子どもと関わったり子どもの言葉を解釈したりすることを楽しむという単純な好奇心や快感の両方を併せ持つ必要がある。


これで連載を終わります。
毎回楽しみに読んでくださった方々、本当にありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?