『医龍』に学ぶ教師論⑥

漫画『医龍』の台詞をもとに教師としてのあるべき姿を考える連載の第六弾です。


前回は、朝田龍太郎が発した「お前が引き受けて、お前が切った患者だろオ。責任はお前が取るんだよ。」という言葉をもとに教師論を考えました。

今回は、「手術は競争(レース)じゃねえ。勘違いするな。」という言葉をもとに、教師論を考えます。


漫画『医龍』の第六巻に、明真大学付属病院の加藤晶のチームで朝田龍太郎がバチスタ手術を成功させたのと同日に、北日本大学で霧島軍司がバチスタ手術を成功させたことが判明するシーンがあります。

加藤が朝田を呼び寄せてバチスタ手術をするという構想を企てたのは、バチスタ手術の論文を完成させることが目的だったため、霧島のバチスタ手術の成功は、加藤のチームにとって脅威としてとらえられます。

そこで、加藤のチームに参加する伊集院登は、朝田に「ぜひともあっちより早く論文を発表させて、見返してやりましょうよ‼︎」と言います。

それに対する応答として朝田が言ったのが、次の台詞です。

「手術は競争(レース)じゃねえ。勘違いするな。」

伊集院が、どちらが先にバチスタ論文を完成させるかということに一喜一憂しているのに対して、朝田は、あくまでも、その手術で患者を救うことができるかどうかを重要視しています。

朝田は、手術の目的は競争に勝つことではなく、患者の命と人生を守ることだということを示しているのです。


教師にとっても同じことがいえます。

かつて私が、ある学校の合唱コンクール後の慰労会に参加したとき、ある先生が、どのクラスの合唱が優れていたかで担任の先生を評価するのを聞きました。

しかし、合唱コンクールの本来の目的は、単にどのクラスの演奏が優れているかを競うことでもなければ、どの教師の指導が優れているかを競う競争(レース)をすることでもないはずです。

それぞれのクラスの子どもたちにどのような学びがあったかを大切にするべきなのではないでしょうか。

教育も、競争(レース)に勝つことを目的とするのではなく、子どもにとって意味のある学びを生み出すことを目的とするべきだと、私は思います。


今回の記事では、『医龍』の「手術は競争(レース)じゃねえ。勘違いするな。」という台詞をもとに、教師論を考えました。

いかがだったでしょうか。

それでは、次回も、お楽しみに。

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