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お酒に弱いあなたも、今宵はバーで

こんにちは。
元奈良支局員の大河原璃子(おおかわら・りこ)です。
5月から神戸支局に異動になりましたが、2022年に入社し、2年間を奈良県で過ごしました。今日は奈良でのお酒事情を振り返ります!

「奈良はバー文化が盛んなんだよね」

入社1年目、奈良支局員行きつけのバーに連れて行ってもらった時のこと。
先輩の一言におどろいたことを覚えています。
「シカ」「神社仏閣」「遺跡」といった「和」の印象が強かったため、意外性を感じたのです。

なぜ、奈良でバーなのか。

奈良ならではの魅力を探ってみました。


※過度な飲酒を推奨する目的はありません。お酒は年齢制限などを守り、節度を守り楽しみましょう。

奈良のバー文化とは


実は奈良県には、世界トップレベルのバーテンダーが数多くいます。
年に一度開催される、バーテンダーの世界大会「ワールドクラス」。
2010年大会で9位「The Sailing Bar」の渡邉匠さんや、2013年大会で3位「Bar ‘Pipin’」の宮崎剛志さん、2015年大会で優勝に輝いた「LAMP BAR」の金子道人さんなど、実力のあるバーテンダーが奈良にはそろっているんです。

「Bar ‘Pipin’」の宮崎剛志さんに伺いました

奈良のバー文化について探るべく、「Bar ‘Pipin’」の宮崎剛志さんにお話を伺いました。
薄暗い照明にレコードでジャズがかかる店内。
おいしいお酒とおしゃれな雰囲気を楽しめるピピンは、県内の新聞記者御用達のお店です。

「Bar ‘Pipin’」の宮崎剛志さん

なぜ世界レベルのバーテンダーがこの土地で多く輩出されているのか。
宮崎さんは「正直分からない」といいます。
宮崎さんは開業前、著名なクラシックホテル「奈良ホテル」に勤務。
仕事の傍ら、ホテルのバーで練習を重ねてワールドクラスに出場、大会では見事3位に輝きました。

「都会にお店を構えるのであれば、コンペに出なくてもアピールできる」という宮崎さん。
「奈良という小さい県では、自分をどうアピールするかが重要」
そこで、世界大会というのが良いツールになると考えたといいます。

また、県内のバーテンダー同士で横のつながりが深いそう。
情報交換をしたり、切磋琢磨したりすることで、互いを高め合っているんだそうです。

奈良らしさ

観光客が多く訪れる奈良県。
各バーでは、奈良らしいメニューを提供してくれるところもあります。

宮崎さんは、奈良市の月ケ瀬地区で生産される特産・大和茶を使ったジントニックを考案。
地酒を使ったモヒートやデザートカクテルなど、日本酒を使ったメニューも増やしたいと考えているそうです。

使用する氷にも奈良らしさが。
奈良県は、氷との関わりが深い場所。
氷の神様をまつる「氷の聖地」氷室神社にまつわり、県内には多くのかき氷店があります。
冷蔵庫のない古代に、冬に仕込んだ氷を夏まで貯蔵する「氷室」が生まれた地も奈良県なんだとか。

桜の季節。観光客で賑わう氷室神社
氷室神社の「氷みくじ」

ピピンなど多くのバーで使用されているのが、氷室神社にも奉納されている、奈良市の老舗製氷店「日乃出製氷」の純氷です。
純氷とは、48時間以上かけてゆっくりと不純物を取り除いた氷のこと。
日乃出製氷はより長く72時間もかけて作るため、純度が高く、固くて溶けにくいんです。
宮崎さんによると、そんな氷は包丁を入れた時の感覚がまったく違うそう。

お酒が弱い人でも

実は私はお酒がとても弱く、あまり飲むことができません。
「飲み会が苦痛なこともある」と吐露すると、なんと宮崎さんも「分かります。私も弱いんです」。

そんな私でもお酒を楽しむことができるのが、まさにバー。
がぶがぶと飲むのではなく、おいしいカクテルをゆっくりと味わいながら会話を楽しんでいます。
私は好物のいちごやチョコレートのカクテルを注文することが多いです。

いちごのカクテル(右)とエスプレッソマティーニ

そんな人は、「まずは『アルコールを低めに』と注文して」と宮崎さん。
アルコールは、味覚に置き換えると甘みやボリューム感に当てはまるそう。アルコールの代わりにお砂糖を足して調整したり、とろとろと粘性のあるカクテルに仕上げて口の中で長くゆっくりと味わえるようにしたりと、弱めてもおいしく味わえるように仕上げるんだそうです。

「チョコレートが好き」「お酒が弱い」と伝えて出して頂いたカクテル

私のおすすめ

東大寺や春日大社、奈良のシカなど、観光スポットがぎっしりの奈良県。
日が沈んだ後は、バーを訪れて奈良の夜を楽しむことがおすすめです。

LAMP BAR

支局の先輩たちと二次会でよく行きます。世界1位に輝いたことも。
ティラミス風のカクテルを皆で一緒に頼んでいます。
ココアパウダーがアクセントになっていて、食後のデザートとしても楽しめます。

重厚な雰囲気の店内
全員で頼んだティラミス味のカクテル

Bar Savant

他社の友人とよく訪れるのは、築およそ120年の町家を改装した古民家にあるBar Savant
木造の扉をあけると広がるのは、和と洋が融合したスタイリッシュな空間。
日本庭園を臨みながら、カクテルをいただくことができます。いちじくやきんかん、イチゴなど、旬のフルーツのカクテルが絶品です。

お気に入りのBar Savant。日本庭園も
きんかんのカクテルといちごのカクテル

The Bar

アインシュタインやオードリーヘップバーン、チャップリンが宿泊したことでも有名な奈良ホテルにあるのはThe Bar
ここでは、中国・清朝最後の皇帝愛新覚羅溥儀を迎える際に新調したグラスで出されるカクテルが。
悠久の歴史に思いを馳せながらいただいています。

皇族や著名人も宿泊する奈良ホテル
ザ・バー

奈良のバーは小さなお店ばかり。
大きなお店とは異なり、バーテンダーと対話をしながらのんびりとお酒を味わうことができます。

私も仕事終わりやお休みの日には、支局の先輩方や同業他社の友人たちと、よくバーに足を運びました。記者クラブで先輩記者からおすすめを伺ったり、友人と調べて開拓したり。雰囲気も味も良いバーがたくさんあり、ゆったりとした時間が過ごせるんです。

ぜひ観光がてら、奈良の穏やかで心地よい夜をバーで過ごしてみてください。

奈良県の桜の隠れ名所『高見の郷』にて

大河原璃子(おおかわら・りこ) 1999年生まれ。仙台と東京で育ちました。2022年入社。奈良支局を経て、5月から神戸支局で司法を担当。3度のご飯とおやつが好き。奈良のシカは友達です。

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