番外・映画『アプローズ、アプローズ、囚人たちの大舞台』はC'est la vie.
※一応ネタバレ無し、のつもり。
映画『アプローズ、アプローズ、囚人たちの大舞台』(エマニュエル・クールコル監督・脚色、フランス、)を観た。原題は「UN TRIONPH」、大成功などの意味らしい。
水曜サービスデーで1200円、パンフレット1500円(パンフ「高い!」と窓口でつい叫ぶ。スタッフもうなずいた。それでも観た後に買いたくなった。パンフ中にネタバレあり注意)。
『アプローズ、アプローズ』はC'est la vie.それが人生!
ネタバレ厳禁なので、書くことはほとんどない。しかし、書いておきたかった。
『アプローズ、アプローズ、囚人たちの大舞台』はC'est la vie.(セ・ラ・ヴィ)、「それが人生!」、が自分の感想だ。
有名なサミュエル・ベケットの不条理劇『ゴドーを待ちながら』(1953年初演)が扱われ、そのベケットが「私の書いた戯曲の中で最高の出来事だ!」と叫んだという実が元。
演劇関係者なら、観て損はない。もちろん、受け止め方はそれぞれだが、自らの演劇観を今一度見直してみるきっかけになると思う。
刑務所の中で、囚人たち相手の演技ワークショップに講師として招かれた売れない俳優エチエンヌ(カド・メラッド)。エチエンヌは癖のある囚人を相手にしつつ、彼らにベケット『ゴドーを待ちながら』を演じさせ、刑務所外での上演実現にこぎつける。予想外の高評価で再演を重ね、ついにはフランス随一の劇場・オデオン座からオファーが!……という内容だ。
ここまでは、演劇が囚人の教育に役立ちました~ふーん、そうなんだ。日本だと難しいよね、で終わってしまう。
でも、観ないと、C'est la vie.はわからない。観ても、感想が違うかもしれないが。
ただ、これは「演劇の虚構」(パンフ中、湯山玲子の言)なのだ。
ちなみに、日本では、2003年に北海道・網走刑務所で串田和美と緒形拳が慰問公演で『ゴドー』を上演したらしい。その縁でか、この映画パンフには串田も文章を寄せている。
外国映画で、役者の表情から感情を読み取るのは難しい
正直自分も途中までは、「あれ……これ選んで失敗だったか?」とも思った。
ストーリーに関係ない部分で言うと、自分が不満だったのは、仕方ないけれど、役者の表情から感情を読み取るのがほぼ不可能なことだ。「行間」の演技が上手いのか、下手なのか、ヨーロッパ・アフリカ系の役者からはちっとも判断できない。
ま、これは、日本人はじめアジア人の表情が、欧米人から「わかりにくい」と言われる裏返しなのだが。
そうそう、聴きとれたフランス語はごくわずかだが、役者の説明が「コメディアン」だった。フランスと日本の芝居の成り立ちの違いを思った。
後から考えると、的な部分もあり、『カメラを止めるな!』(上田慎一郎監督、2017)とは全く異なる分野だが、もう一度観直してみたい、とも。
それにしても、観た人としか感想が語り合えないのが苦しい。
残念だが、ここまでとする。
視野が狭くなってる自分にガツン、ガソリン。