介護私記 たぶん最後のベットの横で20230420-2
年末を無事迎える。退院日程が知らされるとすぐに年末の予定についてケアマネさんが手を回していてくれていた。年末年始は介護施設も病院も訪問看護もお休みなので、出来る限り日程で利用できるサービスを詰め込んでくれた。が、しかし29日から3日までは頼れるサービスが無くて家族でオムツ交換から褥瘡の洗浄と処置、足の包帯の交換など大変な思いをした。心から看護師さんに感謝する。
年が明け4日からデイサービス通っていた施設でショートステイしてもらうことになっていたが、6日に通院を控えていたために一時的に祖母を迎えに行き通っている病院へ。すると血液の中のカリウムというものが大幅に不足しているという診断が下った。カリウムが不足すると突然死のリスクが高まるらしい。カリウムが心臓を動かすエネルギーなのだそうだ。そのまま緊急入院。病院は面会謝絶だった。
そこから3月中旬まで入院していたのだが、入院当初は回復の見込みは低そうとのことで見取りの準備をしてくれと頼まれた。しかし予想に反してグングン回復していった。元農家強し。入院当初ほとんど食べれなかった食事も、もりもり食べていたらしい。だが体はゆっくり弱っているらしく食事は全てミキサー食になってしまった。ミキサー食とは普通の料理に少し加水してミキサーでペースト状になるまで細かくした食事だ。なんとも見ていて不味そう。本人もそう感じていたらしく、退院して戻ってくると一口大に刻んだ料理は喜んで食べていた。退院直前にミキサー食に関する指導も受けとろみ剤も購入したのに。
もう一つ3月に大きな問題が起きた。今まで親身になって対応してくれたケアマネさんが辞めるとのこと。フッワーク軽く様々な事業者と折衝して予定を組んでくれていたのは、この人の活躍と人柄のおかげだ。しかし辞めるということで状況を理解してくださっている訪問看護ステーションに引き継ぎをお願いした。幸運なことにウチに来てくれている看護師さんがケアマネを兼任するということで問題は解決した。
新しいケアマネさん前任者以上にやり手で介護認定も上手くこなしほぼほぼ負担なしで全サービス活用という方向に導いてくれた。訪問入浴、訪問診療、訪問看護、ヘルパーさん、デイサービス、毎日誰かが家に来て何かしらのこと家族の代わりやっくれた。本当に感謝しかない。特に訪問入浴。
それに加えて隔週で7日程度のショートステイも盛り込んでくれた。書き方が悪いが1週間なんとか乗り切れば、祖母が家にいない1週間がやってくるのが嬉しかった。オムツ交換や傷の処置は肩代わりしてもらえても、食事を毎回与えるだけで重労働だったのでここは許してほしい。
4月6日から18日まで長めのショートステイを終え帰ってくると明らかに衰弱している祖母の姿がベッドにあった。家に戻って2日間食事もまともに取れなくなっていた。そして今日、水も食事も取れなくなった。あとは体の中にあるエネルギーのみで迎えがくるのを見守るそうだ。
死ぬまで静観する。ただ見ているだけ。そんな屁理屈のような悪い表現をしてしまう自分がいる。ベッドの横の椅子に座り祖母の口に湿らせたスポンジをあて、口の中、舌の上が乾いてガリガリならないようにトントンと水気を乗せる。手を動かしながら、これが幸せな最後なのか考えたってどうしようもないだろってことが脳裏を走っていた。