【今日のsora】いつまでも詠めないあの空へ
今日は空の話をします。
わたしは普段、主に短歌を投稿している。推敲はほとんどしない。わたしの場合、すればするほど作為的で、ますます陳腐なものになっていく。だからいつも、ほぼすっぴんの採れたて短歌をお届けしています。
そんなわたしにも、いつか短歌にしたいと思いながら、いまだ詠めない風景がある。何度も作っては推敲し、気に入らずに消して、を繰り返しているあの風景。
それは高校の階段の
踊り場にあった窓。
わたしが通っていた高校は、創立2年目。校舎はピカピカで、壁はまだ真っ白だった。踊り場の壁に窓があり、そこから空が見える。白いキャンバスにくっきりと四角い青が切り取られていた。
あぁ、わたしは今、あの空に向かって階段を上っている。窓のむこうに広がる世界へ、羽ばたこうとしている。階段は、滑走路だ。この風景をずっと忘れないでいよう。
いつもそんなことを思いながら、階段を上った。ただ、前途洋洋のはずの空が、きれいだけど悲しくて、胸がぎゅうっと締め付けられた。
高校生のわたしは、若い。たぶんこれが青春ってやつだ。でもそれはきっと一瞬。
駆け上がっていく先にあるもの。未来。それもきっと一瞬。
さらにその先の、先の、先に待つものは何?
いい知れぬ不安が、「ぎゅう」の正体。
壁の白も、空の青も、滑走路も、青春も、未来も、不安も。ぜんぶひっくるめて。自分の感性と言葉で詩にしたいとずっと思っている。でも詩にするには、三十一文字ではとても足りない。
もしかしたら一生詠めないのかもしれない。なので、ここで皆様に、アイデアだけ披露しました。
真剣に短歌を学べば詠めるのかな。おばあちゃんになったら詠めるのかな。いつか来るラストフライトの日。すっかりくたびれたおんぼろ飛行機であの滑走路を走り抜け、最期の離陸をした瞬間に、ピコーンとひらめく気もする。それって、めっちゃかっこいいな。
ま、そのときはもう誰にも読んでもらえないのだけれど。うん。それもまた、素敵だな。