【今日の短歌】忘れない祈りと誓い抱きしめて地に沁みてゆけスノードロップ

忘れない祈りと誓い抱きしめて地に沁みてゆけスノードロップ

当時わたしの住んでいた京都も
かなり揺れた

本棚が倒れたり
飼い猫が椅子の下から
出てこなくなったり
学校も会社も休みになり
みんなテレビに釘付けになった

それでも神戸の出来事は
わたしにはどこか
他人事で
割とすぐに日常に戻った


しばらくたってから
大阪梅田に出た

暖かそうなコートを着て歩く人
楽しげにお喋りする人

（いつも通りやん）

お店も普通に開いていて
当たり前の日常があった

ところが
神戸線が入ってくる駅の
コンコースを歩いているときだ
ふいに鼻につく臭いがした
ハッとして振りかえると
汚れたジャンパーを羽織り
両手にたくさんの荷物を抱える人がいた

よく見ていると
同じような人に
何度もすれ違う

なんの臭い？
煤の臭い？
体臭？
よくわからない臭い

楽しげにお喋りしてる人など
誰一人としておらず
ただ黙々と歩いていく

大地震は本当に起こったのだと
そのとき初めて実感した

日常と災害の距離感

災害は
きれいなコートを着て歩く人の
すぐ隣にある

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