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呪葬

U-NEXT で映画「呪葬」を観ました。
監督:シェン・ダングイ

以下、ネタバレ注意!

(少し、間を空ける)

以前、この note.com ブログにも書いたと思いますが、僕が外国映画を観る理由の半分くらいは、その国の町並み、家のインテリア、人々の風俗・習慣、自然の風景などを味わうためです。
つまり、エキゾチシズム(異国情緒)です。

たとえストーリーや演出面での魅力に乏しかったとしても、その映画を通して外国の景色や風俗・習慣を疑似体験できるだけでも楽しいです。
我ながら、こういう楽しみ方は少し邪道な気もしますけどね。

ハリウッド映画の舞台としてよく目にする「中流家庭の住む郊外の住宅地」は、本国アメリカの観客にとっては当たり前の風景なのでしょうが、日本人である僕にとっては、エキゾチックな異国の風景です。
登場人物たちの暮らしぶりにも異国情緒を感じます。

ただ、子供の頃からテレビの洋画劇場番組などを通して、何度も何度もアメリカの街並みや文化・風俗・習慣などを目にしてきた結果、最近はアメリカ映画に異国情緒を感じにくくなってしまいました。
アメリカに対する異国情緒が麻痺したというか、内面化されたというか……まあ、要するに飽きちゃった。
その点、ヨーロッパやアジア諸国の映画に出て来る風景や町並み、インテリアや風俗・習慣は、今まで目にする機会が少なかっただけに、僕に新鮮な感覚を与えてくれます。

さて、この「呪葬」の話をしましょう。
原題は「頭七」
日本で言う「初七日」に相当する儀式のようです。

日本語タイトルに「呪」が付いているのは、ヒットした他のホラー映画にあやかったのでしょうか?
これは個人的な経験則なのですが、関係のない他のヒット作にあやかった邦題を付けられた外国映画は、あまり面白くない場合が多いです。
輸入配給会社の人たちが「あやかり邦題」を付けるのは、映画その物の魅力に乏しいから……映画本編の出来に自信が無いからなのかも知れません。

都会に住む主人公が、祖父の葬式に参加するため、疎遠にしていた実家に帰ると……というお話です。

個人的には、けっこう楽しめました。
ただし、外国映画の異国情緒込みで、です。
日本と似ているようで違う、違うようでいて何処どこか似ている台湾の風景や建物のインテリア、風俗・習慣、そして亜熱帯な感じがエキゾチックで楽しい。
冒頭のコンビニのシーンから、日本と似ているようで違う、違うようで似ている感じを楽しめます。

そして、いよいよ実家に帰っての第2幕。
日本で言う所の「田舎の古民家」といった位置づけでしょうか?
やはり異国情緒たっぷりの田舎屋敷です。
その薄暗くジメッとした田舎屋敷で起きるゴシックな怪異が怖くて楽しい。
名付けるなら「台湾ゴシック・ホラー」でしょうか。

ただ残念な事に、クライマックスで怪異の原因・理由が明かされて以降、急に怖さも楽しさもしぼんじゃった。
しかも、秘密が暴かれて以降の尺が無駄に長い。
無駄に長いうえに、繰り広げられるのは、ホラー(恐怖)とは正反対の家族愛の物語。
……いやぁ、この展開は悪手だと思うけどなぁ。

結論。
純粋に劇映画として観ると、それほど高い点数は上げられない……かな。
ただ僕個人としては、台湾の田舎の風景やら古民家やら、初七日の習慣やらを異国情緒たっぷり見られたので、満足できました。

ところで、この映画の舞台になっている村の「田舎度」って、どれくらいなのでしょうか?
物語のラスト、夜明け前に事件現場に来た警察の実況見分けんぶんが始まった所で、グーと視点が上がって村の周辺を俯瞰します。
その時、地平線のあたりに都会の高層ビル群が見えるんですね。
つまりこの映画の舞台は、案外と都会に近い場所という事です。
日本なら通勤圏内でしょう。
こんなに都会に近い場所を舞台にしてゴシック・ホラーを描くっていうのも、何だか面白いな、と思いました。

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