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メシア・オブ・ザ・デッド

アマゾン・プライム・ビデオで映画「メシア・オブ・ザ・デッド」を観ました。
監督:ウィラード・ハイク

結論から言いますと、とても面白かったです。
僕の好きなタイプの映画でした。
ただし万人向けではないと思います。

監督のウィラード・ハイクは、ジョージ・ルーカスの補佐をしていた人らしいです。
「アメリカン・グラフィティ」「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」などの共同脚本に名をつらねています。
自身の監督作としては、「おかしな関係」「ハワード・ザ・ダック」などがあります。

上記の作品を見ると、いかにもハリウッドらしい娯楽作の監督という感じですが、この「メシア・オブ・ザ・デッド」に関して言えば、陰鬱いんうつで厭世的な雰囲気の、文芸ホラー映画です。
「ハワード・ザ・ダック」と同じ監督と聞いてもにわかには信じられない程、暗い雰囲気の映画です。

それでは、ネタバレ感想を以下に書きます。

(少し、間を空ける)

日本語タイトルは「メサイア・オブ・ザ・デッド」とカタカナ表記される場合もあるみたいです。
原題は「Messiah of Evil」
直訳すると「悪の救世主」
日本語の題名には「~オブ・ザ・デッド」と付いていて、いかにもゾンビ映画であるような印象を与えますが、これはマーケティング主導の意図的なミス・リーディングですね。
この映画に出てくる町の住人は、徐々に怪物に変化へんげしつつありますが「墓場からよみがえった死体」という訳ではありません。
いつか海から現れる「悪のメシア」を待つ、邪教の信者です。

とはいえ、この映画にゾンビ的な要素が全く無いかと問われれば、多少あります。
肉を喰らう白塗りの群衆には、やはりロメロ・ゾンビとの類似性を感じます。
近代消費文明の象徴であるスーパー・マーケットが惨劇の舞台という所も、ロメロの「ゾンビ」を想起させます。

ここで、ロメロ作品と「メシア・オブ・ザ・デッド」の公開年を確認しましょう。

  • 1968年「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」

  • 1974年「メシア・オブ・ザ・デッド」

  • 1978年「ゾンビ」

この「メシア~」は、ロメロの「ゾンビ」より早いんですね。
「メシア~」とロメロの「ゾンビ」との間に何らかの共通点があるとするなら(実際、多少の共通点は有ります)むしろロメロの方が、この「メシア~」から影響を受けたのかも知れません。

映画全体からにじみ出る厭世的な雰囲気も、ロメロの「ゾンビ」と共通しています。

さらにさかのぼれば「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」があり、この「メシア~」が「ナイト・オブ~」の影響を受けているという可能性も否定できません。

念のためにお断りしておきますが、影響うんぬんは全て「可能性」の話であり、何らかの証拠とか事実に基づいている訳ではありません。
100%、僕の想像です。

まとめると、僕の認識は以下の通りです。

ロメロ「ゾンビ」との間に多少の共通点は認められるものの、この映画に出てくる「町の住人たち」はゾンビではない。
そもそもロメロの「ゾンビ」より、この映画の方が公開年が早い。
強いて名付けるとすれば、「ゾンビ・ジャンルの前駆的作品」だろう。

ラヴクラフト

さて、前章でロメロ「ゾンビ」との共通点を見てきた訳ですが、実は、この映画には、もっと似ている作品があります。

それはラヴクラフトの短編小説「インスマウスを覆う影」です。
これはもう、偶然の一致とは思えないほど似ています。

1970年代アメリカの風景

1970年代アメリカの風景が、良い感じです。
特に、人気のない真夜中の町を煌々と照らすショーウィンドウの明かりが、良い感じです。
世界の終わりのような静けさと寂しさを感じます。

追記(2024.8.27)

ふと思い出したので追記しておきます。
「恐怖の足跡」に少し似ている感じもありますね。

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