地獄の門
U-NEXT で「地獄の門」を観ました。
監督:ルチオ・フルチ
わりと面白かったです。
登場人物の性格を1人1人丹念に掘り下げて伏線張って回収してオチをつけて……っていう現代的な作劇法で作られた映画じゃありません。
ストーリーは有って無いようなものです。
展開は行き当たりばったりです。
趣向を凝らしたショッキング・シーンを、次から次へと陳列していく感じでしょうか。
やっぱり見どころは、醸し出されるゴシックな雰囲気でしょう。
ハマープロに代表される英語圏のゴシック作品とは、違うようで似ている、似ているようで明らかに違う、イタリアン怪奇。
でも、舞台はアメリカ。
台詞はイタリア語吹き替え。
イタリアとアメリカが絡み合っています。
それが良い具合に歪な感じを生んでいます。
近ごろ僕は、古典的なゴシック物語・古典的な怪奇物語に飢えています。
古典的と言っても時代劇じゃなくて、現代が舞台のゴシック・ホラーが欲しい。
映画「地獄の門」に話を戻します。
舞台となる架空の町の名が「ダンウィッチ」でした。
元ネタはラヴクラフトですが、クトゥルー神話との関連は特にありません。
原題「Paura nella città dei morti viventi」は、イタリア語で「生ける死者の町の恐怖」という意味らしいです。
「morti viventi = living dead = 生ける死者」という言葉がタイトルに付いているので、広義のゾンビ物に分類されるのでしょう。
僕の印象としては、ゾンビ物というよりアポカリプス(黙示録)物かな。
両者は非常に近しいジャンルで境界も曖昧ですから、どちらを名乗っても間違いじゃないですが、一般的なゾンビ物より宗教色が強いように思いました。
突然に現れて突然に消えるっていうのも、ゾンビらしくない。悪霊と呼んだ方が相応しいと思いました。
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