『関心領域』『オッペンハイマー』|2024:映画の記録 vol.26
(前回はこちら)
はじめまして、京です。
いやぁ、香港カップ!いいもの見れた!
最後の直線、タスくん素晴らしい食い下がりだった。お嬢さんも強かった!とにかくお疲れ様!!
それにしてもロマンチックウォリアー化物すぎる。(あとは香港表記の浪漫勇士かっこよすぎる)
閑話休題
さっそく今日も1日↓
『関心領域』
"恐ろしいほどにつまらない一作"
先に言わしてほしいが、批判の意図は一切ない。むしろこれこそがこの作品の良さなのだと思う。
第二次世界大戦中のナチスドイツ、さらにいえばあの収容所のすぐとなりで展開される物語ともなれば、もっと劇的(ドラマチック)であるはず。それなのにこの作品は、徹底的にそんな事実を無視続け、単調なストーリーで展開されていく。その異常さがどうしようもなく恐ろしい。
さらにただ無視し続けるだけでなく、そんな違和感に気づく瞬間があるからこそ、より一層恐ろしさをかき立てる。それが、祖母が去ってしまうシーンと最後の嘔吐のシーン。
どちらにも共通するのが、家族にとっては当たり前の(壁の向こうの)音。よそから来た祖母には鳴り止まないその音が苦になり、単身赴任した旦那さんはその音が聞こえなくなったことで、その違和感に気づく。さらにその違和感に気づいた彼は、自らの過ちとその顛末(未来)が見え嘔吐する。とても面白い構成だと思った。
あとはなんといっても映像。
予告からその圧倒的な映像に魅了され、すぐに監督を調べてみると、あの最高にイケてる「Virtual Insanity」のMVの監督だったとは。
『オッペンハイマー』
"これからへ問いかける一作"
こちらは『関心領域』とは違い、原子爆弾という第二次世界大戦の重要な事柄が劇的に描かれている。とくにトリニティ実験のシーン、ノーラン監督らしい現実味のある迫力を帯びた描写は、原子爆弾の威力のとてつもなさを感じざるには得なかった。
ただしあくまで科学者としての物語、それがこの作品の関心領域ということなのだと思う。直接的な戦争描写はなく、その被害がデータとして伝えられるのみで、それがかえって残酷さを際立たせていた。
ただし被害者を映さないからといってその真実から目を背けているわけではない。オッペンハイマーが観衆の喝采を受けるシーンでは、彼の原子爆弾を作ってしまっという自責の念を強く感じた。
さらにラストのアインシュタインとの会話。
これから私たちが(考えていかなければ)向かうであろう破滅が示唆されているようで、原子爆弾への強い批難とこれからを生きる私たちに訴えかけているようだった。
デリケートな話題で日本公開が難しいのは仕方ないのだが、他国からの視点やそこから見える日本の異質さなど学ぶことが多くあったので、こういう機会が失われる可能性があったと思うと恐ろしい。
そのうえで他国からの視点ということで、その歴史に対する常識が違い、複雑な構成も相まって話を理解するまでに時間がかかる。私はあとで調べたが、先に人物関係と時代背景は予習しておくほうが良いかも。
ノーラン監督といえば、ダークナイト三部作を観ているのでそれもまたの機会に。それにしてもアインシュタイン、写真で見たまんまの本人やったな。
アカデミー受賞作しかも時代背景も同じ2作。
両作品ともにかなり見応えがあり、いつも以上にしっかりとしたものが書けた気がする。過去の過ちをけっして繰り返してはいけない強く戒める時間を過ごせた。
ただ気になっているのが、(以前の『哀れるなるものたち』も含め)日本での公開時期の遅さ。作品とは直接関係ないのだけれど、どうしてもアカデミー賞受賞作というブランド(ある種の思い込み)の中で見てしまってるような気がするので、もっとフラットな期待で楽しみたいもの。
最後まで読んでいただきありがとうございます!