『ルックバック』|2024:映画の記録 vol.31

(前回はこちら)
はじめまして、京です。
またカウントが1からはじまるこのタイミングで、はじめてnoteを書いたこの作品が選ばれたことに不思議な巡り合わせを感じる。

はじめてのnote↓

初心を思い出しながら、さっそく今日も1日↓


『ルックバック』

"大切なことを思い出せる一作"

アニメ作品としての『ルックバック』

もはや改めて言うまでもないことだが、文句などあるはずなくあまりにも完璧な作品。作画も声も音楽もありとあらゆる要素が素晴らしい。

しっかりとしたクオリティが担保された上で、自主制作的な手描きのアニメーションとの折り合いがとても良かった。

AIが普及していく昨今だからこそ、そんな人間らしさ光っていたし、『描く人』をえがくこの作品にはピッタリだと思った。

藤野と京本、大切な2人のキャラクター

やっぱりこれに尽きる。大げさなストーリーよりも、登場するキャラクターを常に気にかけれる作品がこそいい作品なのだと思った。2人が出会うまでの小学生時代なんかまさにそう。

そうやって築かれたしっかりとした土台があるからこそ、2人の関係性やその喜怒哀楽のひとつひとつに気にかけることができる。今回はそんな2人のそれぞれのとくに好きなシーン。

まずは、藤野。
漫画家になり編集さんと電話をするシーン。
映画のオリジナルシーンとして追加されたシーンで、藤野の京本への想いが伝わる良いシーン。

以前観たインタビューの中で、藤野役の河合優実さんが1番好きな台詞として、藤野と2人で出かけた後の電車での京本の藤野へ感謝の台詞を挙げていた。理由は、内気そうな京本の方が藤野より自分の気持ちを素直に言葉にできることが分かるからということだった。(細部違ったらごめんなさい)

京本の新たな一面と気づくことが出来たと同時に、その裏返しで素直に気持ちを言葉にできない藤野の(ある種の弱さとも言える)一面に気づくことが出来た。

そのうえで電話のシーンを見てみるととてもそれを感じられる。その前のシーンで背景はアシスタントに描いてもらえば的なことを、京本に強がるように言っていた藤野は、(編集さんから提案されたであろう)アシスタントの名前を挙げながら、その不満を口にする。

その姿は(実は自分にとって完璧だった)京本を、言葉にできずとも無意識の中で求めているように感じる良いシーンだと思った。

京本は事件後の「ただいま」のシーン。
家に帰って、家族にそんな当たり前の言葉を伝える。一度は奪われたそんな当たり前の尊さや儚さを実感し、いつも泣いてしまう。

漫画で読んだ時はここまで印象的じゃなかったのに、今回こんなに心が動いたのは、音声を伴うアニメ作品だからこそだと思った。

さらにあの時と違って、一人暮らしをはじめたという自分自身の環境の変化があったからこそ、「ただいま」や「おはよう」といったそんな家族に挨拶を言えることが、幸せだと気づけたのかもしれないとも思う。


漫画が公開されはじめて読んだあの日、そしてそれから4年経った今回は映画という形で。自分にとって人生の節目や分岐点になるタイミングで現れ、ぶれかけた"心の軸"を支えてくれる作品。

この"心の軸"という言葉。
『ルックバック』と同じぐらい、私にとって大切な作品である『平清盛』(大河ドラマ)の台詞から拝借。

好きや大好きな作品は多くあっても、こういった大切な作品はなかなか見つからないもの。あと何作、私はそんな作品と出会えるんだろうか。


最後まで読んでいただきありがとうございます!
37日目

京本の言葉じゃないが、ふと思った。

じゃあ、私はなんで描いてるんだろう

今日の午前中、年の瀬の挨拶をしに祖母の家へ
額に飾られた小学生時代の絵があった。

ある夏の思い出

もう何年も当たり前に飾られていたそんな絵に、いつもは見落としていた、こうした文章や絵など「何かを"描(書)く"」という心の軸の原点が見えた気がした。

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