見出し画像

5年後に退職する新卒サラリーマン【第三章】 (9)

第一章 <激動の就活編> は、こちらから
第二章 <戸惑いの新入社員研修編> は、こちらから


翌日、私は「社長室」に呼び出された。

当然だ。私は営業研修の初日、大阪から招かれた重鎮、「伝説の営業パーソン」と恐れられるお局トレーナーに、真っ向から反抗してしまったのだから。

新卒1年目で、広島に配属されたばかりの新人の、この私が。

「これはパワハラですッ!!
寺島ハラスメント!! テラハラです!!!!

寺島さん!!
あなたがやっているのは、ただの新人イジメだぁッ!!」




なぜ、あんなことを……

なぜ「テラハラ」などと言ってしまったのか。普通に「パワハラ」と言えばよかったのに。いや、ちがうか。そういう問題じゃないか。



「安斎君。君のことは寺島さんから聞きました。

あのね、君…… 寺島さんは、西日本の本部から招聘した特別な研修講師だ。わざわざ私たち広島の営業チームの為に時間を割いてくださっているんだ。

それなのに、君は…」


支店長より偉い、株式会社ラブアンドパンティーズ販売中四国・代表取締役である北村社長が、私を鋭く睨みつけた。

その声の調子は、落ち着いてはいたものの、「大阪の重鎮」の逆鱗に触れた、この生意気な新人をどうしてくれようかという「静かな怒り」が、表情の奥に見え隠れしていた。

ここから先は

2,099字

【初月無料】月末までに解約すれば請求は発生しません。入会後すぐ、300本以上の記事がすべて読み放題。

プレミアムメンバー

¥1,000 / 月
初月無料

頂戴したチップで「餃子とビール」を購入させていただき、今後の執筆活動に役立てたいと思います。安斎に一杯おごりたい方は、ぜひチップをお願いいたします。