5年後に退職する新卒サラリーマン【第三章】 (18)
第一章 <激動の就活編> は、こちらから。
第二章 <戸惑いの新入社員研修編> は、こちらから。
壊れそうな明日へ向かっていく、安斎響市 24歳。
この広島支店に来て、もうすぐ1年が経つ。
最初の頃に比べれば、「営業」の何たるかも少しは分かってきたつもりだ。
新卒2年目。
正直言って、先輩社員たちはこれといって何か指導や教育をしてくれるわけではなかったし、会社の「営業研修」では意味不明な「声出し」や、マニュアル通りの「接客ロープレ」をやらされるばかりで、学べることはそう多くはなかった。
「OJT」という名の、放ったらかし。
結局は、自分個人が、実務の中で徐々に仕事を身に付けていくしかなかった。入社後、最初数カ月の研修期間の後は、もう1年近くずっとこんな感じだ。
しかも、地方の小さな営業現場で、契約社員やアルバイトと同じ仕事をするという、有名企業の本社総合職としてはやや屈辱的な状況。
仕方がない。私は「配属ガチャ」の敗者なのだから。
それが、日系大手メーカー新卒新入社員の真実だった。
ちなみに、先日こんなツイートをしたら、プチバズったよ。
確か、私の新卒1年目(広島時代)の年収は380万円くらいだったと思う。
まあ、大学生時代に比べたら随分お金の余裕はできたので、満足していたと言えば満足していたのだが、世界中の誰もが名前を知っている「ブランド企業」に入ったのに、この程度の年収なのか…? という想いは拭えなかった。
でも……
そのときの私は、気が付いていなかったんだ。
その感覚が「ズレている」ということに。
「今月の営業実績の進捗は…」
「安斎さん、77%
チャラ澤さん、82%
佐藤さん、60%
川端さん、68%
里中さん、12%
木村さん、0%
あと… 栗田課長が 33% です」
営業アシスタントの山田さん(アルバイト)が、実績を読み上げる。
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