5年後に退職する新卒サラリーマン【第三章】 (19)
第一章 <激動の就活編> は、こちらから。
第二章 <戸惑いの新入社員研修編> は、こちらから。
モンスター社員・里中の叫びが、会議室に響き渡った。
「あなたはいいわよね!? 『本社組』の総合職なんだから!! 会社のお金でキレイなマンションに住んで! 良い給料もらって!!
教えてあげましょうか?
私たち、契約社員の給料なんて、手取りで月11万とかなのよ!?
普段の店頭周りの仕事の他に、営業ノルマを達成しろだなんてね! こんな安い給料じゃ、やってらんないのよ!! 入社1年目から良い給料貰ってるあなたやチャラ澤さんとは、違うのよ!! 同じ感覚で物を言わないでよ!!
何が、『ワンちゃんのお世話をするため』よ!? 私の可愛いシャルロットやヴィオランテのこと、気安く呼ばないでくれる!?」
・・・。
一体なんだ? その犬のネーミングセンスは??
……とも思ったが、
予想外の角度からの反論に、安斎は少し戸惑った。
私は、今月の「営業ノルマ」が大幅に未達成の里中さんに、何とかやる気を出してもらおうと声をかけただけだったのだが、
”こんな安い給料でやってられるか!?”
という反論…
それを、新入社員の私に言ってどうする?
上司に言ってくれ。
いや、ちがうか。そういう問題じゃないのか。
私たち、本社からの出向組と、広島エリアのグループ子会社の社員の間には、埋めようとしても埋められない溝があった。
「プロパー」と呼ばれる子会社の社員たちの9割は契約社員で、実は、正社員ですらないのだ。
いや、しかし…
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頂戴したチップで「餃子とビール」を購入させていただき、今後の執筆活動に役立てたいと思います。安斎に一杯おごりたい方は、ぜひチップをお願いいたします。