親子ジェンガ〜眠ったこどもを起こさずに抜き取ること〜
抜き取るのむずい。
先日、抱っこで眠ってくれた娘をベッドに置こうとした。
失敗。
立ってゆらゆらしながら、上の子の相手をしているうちに、
もう抱っこも限界。
疲れて、ソファに座ると娘の足がソファに当たって、
そのソファに当たった足で私のお尻を蹴りながら
抱っこしろの要求。
(むちで叩かれた馬か、わしは。)
と思いながらも、
せっせと立ち、またゆらゆら。
(いつまで続くんか。これ。)
(泣いてもいいからもう抱っこから降ろそうかな。)
1時間ほど経って、ようやく決意した、その時。
急に奇跡が起こった!寝た!!!!!!!
それは、ソファに座ってもう疲れた〜と体を横にした瞬間だった。
自分でコテっとソファの上にごろり。
(よっしゃ〜!!!!!)
心の中で、ワールドカップでゴールを決めたサッカー選手並みに
両手を高々と上げ、ガッツポーズとした!!!!
ところがその時、
「ピーーーーーーーー!!
ゴールではありません!!!!
これは、ダメですね!」
私の脳内に謎の審判が現れ、ノーゴールの判定。
(はて?何がダメなんじゃろか?)
冷静に自分の置かれた状況を把握してみる。
はい、娘が寝たのは、ソファの上ではなく、
正確には、ソファで寝転がった、私の腹の上。
プラス記号のようにちょうど重なって
万歳の格好で寝ている。
抜き取らなきゃ、私の体を。
(、、、むずくないか?これ。
人間ジェンガやん。親子ジェンガやん。
やん。やん。やん。やんー。)私の心の声。
↑エコーがかかった感じでお読みくださいませ。
しばらくフリーズして考えてみたが、
抱っこから下ろせたはいいものの、
なかなかハードルの高い案件。
少しズレると娘の体全体が揺れ始め、
下手するとソファからも落ちてしまう。
ゆっくーり、ゆっくーり、ずらしていく。
でも、たまにはグッと動かさないと、
1ミリずつ動かしていったら、
完全に抜き取れるまでに、どれほどの時間がかかってしまうだろう。
面白い言い表し方で時間が経つことを表現したいが
今はその表現方法も思い付かないくらい
必死でジェンガの攻略法を考えている。
ゆっくり丁寧に、
でも、たまには大胆に、
そして、荒々しくありながらもごく自然に、
親子ジェンガの抜き取りの挑戦が始まった。
途中、何度も上の子に
小学生くらいに習う声の大きさを5で表すやつの
4くらいのデカさで話しかけられる。
「しー!今、妹ちゃん寝かせてるでしょ〜。
少し静かにしててね〜」
1の声でささやく。
「うん!分かった〜」と4.5の声でお返事してくれた。
さっきよりデカくなってるやないかい!!!
ドドドドドドドドって重機くらい大きな音を立てて、
走り出し、違うお部屋へ行ってくれた。
幸い、腹の上の娘はまだ目を覚ましていない。
お風呂に入りたいと思ってから、
もう2時間は経っただろうか。
あんなに親子ジェンガの抜き取りを必死に頑張っていたのに、
もう集中の糸が切れてしまった。
急に全てを投げ出したくなった私は、
「泣いたらあとは宜しく。」
近付いてきた夫に、かっこよく捨て台詞を吐き、
娘の体を一旦抱き上げ、そのままソファへ大胆にダイブさせた。
クッションを多めに敷き詰め、
今度は隙間にテトリスをはめ込むかのように、
娘をクッションの中に埋め込んだ。
娘「うーん、、、、」
泣くか?泣くのか?
でも、私は、振り返ることをしなかった。
即座に自分の着替えを取り、お風呂場へ直行。
脱衣所から聞き耳を立てたが、
娘が泣き出す声は聞こえず、
逃げるようにして、お風呂場へ。
(夫よ、泣いたらあとはもうどうにかしてくれ)
私のジェンガ抜き取りミッションの甲斐あってか、
私がお風呂を上がるまで泣かずに寝てくれていた。
お風呂から上がって、熱った体を冷まそうと
扇風機の『入』のスイッチを押した瞬間、
娘が泣き始めた。
(なんでや。あれ?私が押したの娘の泣き出しスイッチやったっけ?)
私の方が泣き出したくなりながら、またせがまれた抱っこに応える。
そんな、そんな、
毎日のように起こる
何気ない日常の一コマでした。
ちゃん、ちゃん。
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