感情移入して仕事してもいいじゃない。
仕事のモチベーションは人それぞれ。
お金が欲しくて働いている。
「ワーク」と「ライフ」は別物。仕事は仕事と割り切っている。
色々あります。
人それぞれ、良いとか悪いとかではありません。
でも、「仕事はこういうものだ」「できるビジネスマンはこう考えている」という風潮というのはあるものです。
影響される人、されない人。それも人それぞれ。
でも、「ああ、自分の考えは”できる人”とは違うんだなあ」と思ってへこんだり劣等感を感じたり自信を無くす人がいるかもしれない。
私もそんな一人。
会社では「できる人」「優秀な人」と言われる人の言動や振る舞いがどうしても好きになれなかったり。
妙にストイックなのを見て「自分はそこまでできないな」と思ったり。
でも、そんな働き方をしていない自分が好き。
そして、そんな自分を支えてくれている人がいる。今日はそんなお話をさせていただきたいと思います。
「自分一人では何もできない」という人生観。
人生観というのを意識したのは大学生のころ。
文化系のちょっと大きいサークルに所属していましたが、そのサークルは運営がきっちりしていて、年間のイベントや、毎週の企画、他大学との交流がしっかりと組み立てられていました。
3年生が運営に当たりますが、役職もかなり細かく分かれています。
人間、得意不得意があるもので、交渉能力のある人、人前でのスピーチが得意な人、大会で表彰される人、色々な人がいました。
我々の同期の中で、各人の位置づけはかなり明確で、「これが得意なのは彼だ!」というコンセンサスがあったのです。
私自身もそういった役割や位置づけがあって、同期の中では(先輩や仲間からの評価によると)精神的支柱、精神安定剤、駆け込み寺的な位置づけになっていたようで、ありがたいことに一定の信頼をもらっていました。
そんな私も不得意なことがあるわけですが、そういうところは仲間が受け持ってくれる。
私はその仲間たちが誇りでした。今も一番仲良くしているのはこの時のメンバー。
そういった経験をして、「自分一人だけでは結果は出ないんだな、仲間の力はすごいな」という人生観を持つようになったのです。
仲間もすごいけど、自分を頼ってくれる人がいる。
私は仲間のことを「すごいな」と思いながら見ていましたが、私のことを信頼し、頼ってくれる仲間や先輩や後輩もいました。
「ちょっと話を聞いてほしいんだけど」
といって声をかけてくれる先輩や仲間。
「今日、一緒にご飯行きませんか、話したいことがあるんです」
と言ってくれる後輩たち。
卒業するときに色々なコメントをくれた仲間。
「もう、言葉はいらないよね。ありがとう、これだけだよ」
「あの時はありがとう。お前のおかげでいまここにいる」
「先輩は厳しいけど、いつも信じてくれていました」
正直、私は一人一人に特別なことをした意識は全くありません。
楽しく話をしただけだし、一緒に悩んだだけ。それだけ。
だって友達だから。かわいい後輩だから。
でもこんなに覚えていてくれている、感謝してくれている。
こんな仲間からのフィードバック一つ一つが私の人生観をより強固にしていきました。
そしてそれは仕事でも同じ。
そして私は製造業に就職します。
私は技術者ではありません。だから新技術を開発するわけではないし、製品の設計をするわけでもない。
そんな私がなぜ製造業に就職したのか。
それは「私が持っていない能力を持った仲間と仕事をしたいから」です。
今思うと、自分が持っていない能力を持った人はどこにでもいるんですが。
私にとって「技術」というのは大きな魅力だったんです。
技術者のために私ができることがある。そんな気持ちで就職しました。
尊敬できる同期。
入社するとしばらく研修があるわけですが、「ロボットを作る研修」というものがありました。
事務系と技術系でチームを作り、コンセプトを練ってロボットを作る。
事務系同期二人がテキトーな(笑)コンセプトを考え、作ることになったのは「壁を上るロボット」。
ここから技術系同期が私の全く理解できないことを議論し始め、どんどん設計が進んでいきました。
数か月後、チームで再開したときにそこには「壁を上るロボット」がいたんです。
鳥肌が立ちました。もう一人の同期は塩対応でしたが(笑)
たぶんそのロボット自体はそこまで難しいつくりではなかったのだと思いますが、それを作ったのは自分と同い年の同期。
自分にはすごい仲間がいる!
と思ったのです。
ああ、この仲間のために仕事がしたい!
そう決意したんです。
私の使命は仲間の力を世の中に出すこと。
私は優秀な技術者がたくさんいる会社で仕事ができていることをとても幸せなことだと思っています。
うまくいかない事業もいっぱいあります。でも、だからといって単純に技術や努力を否定したくない。結果だけで評価したくない。
その背景にある想いや技術をより丁寧に見ていけば、まだできることはあるはず。そんな気持ちで仕事をしています。
中には「ダメな事業はすぐ止めねばならない」「あの技術は失敗だった」と決めてしまう人もいます。
確かに判断は必要。引きずってはいけないことも沢山あります。
でも私はあきらめたくない。
表に出ていることが全てではない。
失敗したのは、技術者の想いや技術の出し方を間違っただけなのではないか。そう思っています。
仲間の想いやそれで生まれた技術を世の中の人に受け入れられるようにしたい。その責任を持ちたい。そんな気持ちで仕事をしています。
感情移入するから続けられる。
私は想いを原動力にしています。
仲間を信じる気持ち、仲間の力で世の中を便利にできる、そんな想いが全て。
仕事をしているとつらいこと、大変なことばかり。でも、私の原動力は信じる想い。
おもいっきり感情移入するから続けられる。
それが自分らしさ。これからも変わらず向き合っていきます!