ハートを揺さぶる1枚のカード
私は、たった1枚のカードで一目惚れしがちだ。
今回もそうだ。Ankerから発売されている有名なモバイルプロジェクター『Nebula Capsule』の、『カード』に一目惚れしてしまった。
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一人暮らしをはじめた。テレビはあまりみず、YouTubeかSNSを見ることが多い私は、スマホとミラーリングができるプロジェクターを探していた。
インスタで『プロジェクターのある暮らし』というハッシュタグがあったので、検索してみると、AnkerのNebulaシリーズが多くヒットしていた。
色々な製品と悩みつつ、Amazonで安くなったのを見計らって『Nebula Capsule』を購入。
箱を開けて（箱も素晴らしかった）、中を探ると、1枚のカードを見つけた。
Happy？と書かれたカード。
名刺？保証書？
なんだろうと疑問に思い、中をめくると、このようなことが書かれていた。
We’re just happy that you’re getting the blockbuster experience you truly deserve.
（私たちは、あなたが本当にふさわしい超大作を手に入れることができたことを、ただただ嬉しく思います。）
カードを閉じ、今度は裏側を見てみると、Not Happy？と書かれている。
また中をめくると、このようなことが書かれていた。
Our friendly customer service team will work hard to put a smile back on your face.
（私たちのフレンドリーなカスタマーサービスは、お客様に笑顔を取り戻せるよう一生懸命頑張ります。）
これは名刺でも保証書でもなく、ユーザーに向けてのメッセージカードだった。
日常で使っている家電製品は、私たちに向かって『あなたはこの製品を使っていて、幸せですか？』なんて聞かれない。だからおどろいた。それと同時に、『幸せじゃわ！』って返したくなった。精いっぱいの声を出して。
そして、まわりの製品の、お問い合わせが書かれている紙を探した。そうだ、取扱説明書の1番裏側に書いてある。
『何かお困りの方はこちらにお願いします。お問い合わせ電話番号：0120-123-4567』みたいに、無機質な文字で。
製品が使えなくて、精神的には不安定。さらに電話をするというハードな壁。こんなことばかり考えてしまうから、めんどくさい。いっそのこと使うのやめたい。と思って、お問い合わせをやめたことがあるなあ、っていつの日かを思い出した。
好きの反対は『無関心』というけれど、お問い合わせというものは、その製品を改善してほしいという気持ちによって動く行動だと思っている。
だけど『めんどくさい』が勝っちゃうとすぐに『無関心』になり、お問い合わせが集まらなくなり、製品は改善されず、ゆるやかに死んでいく。
でも。
Nebula Capsuleのメッセージカードには、そんな困ったユーザーと同じ目線に立ち、『私たちは、あなたのために全力でサポートします！』と伝え、たくさんのお問い合わせ先を提示してくれていた。
その反面、とくに困っていない人に対しても、『私たちは、あなたに最高の製品を届けられて幸せです。ぜひ他の人にも勧めてください！』と、喜びの声を届けている。
そんなシンプルで素直なこのカードに、私はハートを揺さぶられた。
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瀬戸内海に浮かぶ小さな島、『粟島』に行った際、入口で『ようこそ粟島へ！』と書かれた小さなカードをもらったことがある。
それが嬉しくて、写真を撮った。そのカードを大切に持ちながら、自転車に乗って島中をぐるぐる回った。
メルカリで物を購入したとき、たまに出品された方から『お取引ありがとうございます！』と書かれた小さなカードが入っていることがある。それが嬉しくて、真似て、自分が出品者になったときに書いてみた。
お取引後、取引した方から『小さなカードが入っていて、とても嬉しかったです』とメッセージをいただいた。
きっと私たちは、たった1枚のカードで幸せになれる。そしてその小さな幸せを、日常生活から広げることができる。
例えば、冷蔵庫に貼るメモ。同居人に、『今日の晩御飯は冷蔵庫に入っています。いつもお仕事お疲れさま！』と書いてみたり。
ワークデスクの上に置く付箋。部下に、『今回のプロジェクトは大変だけど、一緒に頑張ろう！』と書いてみたり。
誕生日プレゼント。友達に、『誕生日おめでとう！これからもよろしくね！』と書いてみたり。
たかが1枚のカード、されど1枚のカード。
まずは半径5メートルの中にいる、大切なひとたちのハートから揺さぶって、幸せを広げていきたい。私はNebula Capsuleのカードから、そんなことを思った。
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